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酒、人を呑む 「紛失物、その後」

人生とは、まことに、鈍感なものだ。

「大丈夫です。ありがとうございます。
 大丈夫です。大丈夫。。。。。。」

へらへら笑いながら、
同じ言葉を繰り返すだけの私は、
はたから見れば、異常だ。

ふらつく私を支える若い女性は、
優しい口調で教えてくれた。

「大丈夫じゃないですよ。
 真っすぐ、歩けていませんよ。
 膝から血も流れていますよ」

指摘された足を見ると、確かに血が…。  
でも、ぜんぜん、痛くない。 その時は…。

歩き疲れた私が地面に座り込むと、
その女性も、しばらく寄り添っていてくれた。

そこへ、息子の運転する車が通りかかり…。

慌てて、車から降りて来た息子は、
酔っ払いの母親を気遣う親切な女性に、
何度も何度も頭を下げて、お礼を言っていた。

いい具合に息子に出会えたと、偶然を喜んでいたら、

「バッグを預かっている人から、電話があったんだ。
 今から、ママのバッグを受け取りに行くよ」

バッグも見つかった!? なんて、ラッキー!!
酔った頭では、ややこしいことは考えられない。

「よかったねぇ~。よかったよぉ~~」

私は、助手席で、ひとり、はしゃいでいた。

こうして、バッグも私も、息子の運転する車に乗って、
無事に帰宅することが出来た。

家に戻ると、一足先に帰っていた夫に叱られた。

「なんで、一人で、ふらふら、行くんだ。 
 2時間近く、駅の周辺を捜し続けたんだぞ!!」

申し訳ないと思ったけど、
酔いが回って、起きているのが辛い。

「ごめん、ねむた~い、寝る!」と、叫んでしまった。

「とっとと、寝ろ!」と、言ってくれたので、さっさと寝た。

翌朝、体中の痛さで目が覚めた。

左足の膝には、かさぶた。
左足太ももの付け根は、広範囲に青紫色に変色。
左手の肘から下も大きなすり傷と、大きな青あざが…。

祝宴後、酔っ払いのおばさんに大変身して、
周囲の方々に、多大なご迷惑をおかけし、
自身の体にも、知らぬ間に、打撲傷???

反省することがありすぎる。

息子に出会えたのは、
私の家の電話番号を聞き出してくれた女性が、
自分の携帯電話を使って、
私の様子を家に連絡してくれたから。

私のバッグは、タクシーの中にあったそうで……。
酔っ払いをタクシーに押し込むのを手伝った時、
バッグは私の手から離れ落ち、後部座席へ……。

手を引いてくれた、見ず知らずの若いお姉さん。
バッグを届けてくれた、タクシーの運転手さん。

みんな、親切で、なんて、いい人なんだろう。

酔っ払っていた私は、彼らの顔を思い出せない。
息子が、丁寧に対応してくれたようだが……。
世間様に親切にしてもらったご恩は、
ちゃんと、世間様にお返ししよう。

私 「あの時のお姉さんのように、
   困っている人には、優しく温かく、迅速に、
   手を差し伸べることが出来る人になります」

夫 「それは、お前には、出来ないな」

私 「なんで?」

夫 「お前の性格じゃ、無理だ」

いったい、夫は、私のことを
どんだけ、性悪な女と思っているのか。。。

でも、大体、当たっている。

アルコールに躍らされ、困っているであろう夫に、
私は優しく手を差し伸べる術を持っていない。

夫は、アルコールの底なし沼にハマったままだ。
しかも、日に日に深みにハマって、身動き出来ない。

それに引き換え、この私。
あれ以来、外での飲酒は自重し、
自分の身体だけを大事に労わって……。

ひと様の痛みには、鈍い性格だ。。。。。

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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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