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酒、人を呑む 「紛失物」

人生とは、まことに、羞恥なものだ。

2010年5月、
夫は、自身の体調不良を無視出来ずにいた。

月末に、社内のAさんが、
フランス料理の小さなレストランを貸切にして、
結婚報告を兼ねたパーティーをするという。

当日の司会進行役を頼まれた夫は、
万全の体調で、その日を迎えたかったのだ。

夫は病院嫌いを返上して、地域の総合病院を受診した。
内科の特効薬?を希望していたのに……。
持たされたのは、
アルコール依存症治療で有名なK病院への紹介状。

夫は治療に背を向け、節酒で何とか体調を維持し、
パーティーの司会役をこなしたのだった。

夫のお目付け役ではないが、
そのパーティーには、私も招待された。
アットホームな雰囲気の中、
祝杯のワインをおかわりして……。

ほろ酔い加減の私は、
夫の会社の方たちと、2次会へと流れた。

今度は中華、紹興酒!!
次は居酒屋、日本酒!!

結婚披露にかこつけた、呑兵衛たちの宴が終わり、
まず、一番の酔っ払いをタクシーに押し込み、
次に酔っ払っている人もタクシーに乗せ……。

皆がタクシーに分乗したのを見届け、
私たち夫婦はバスで帰宅するはずだった。

自宅方面へのバス乗り場に向かう途中で、
私は、自分が手ぶらであることに気が付いた。

「バッグ、さっきのお店に置いて来た!!」

携帯電話も財布もバッグの中。
財布には、クレジットカードも免許証も入っている。

気が動転した私は、バッグを求めて駆け出した。

慌てて居酒屋に戻り、尋ねるも、
「忘れ物は届いていない」と、店員はつれない返事。

もしや、中華屋の方に置き忘れたかも…と、
行ったり来たりしている間に夫とはぐれてしまった。

バッグは見つからない。
夫も見つからない。

取りあえず、家に帰ることにした。
一文無しなので、徒歩で…。

この駅前からは、真面目に歩けば、
20分足らずで、自宅に戻れる。

ハイヒールにスーツ姿のおばさんが、
手ぶらで蛇行しながら歩く様は異様だったのだろう。

気が付けば、通りすがりの女性が、
私の腕を支えて、一緒に歩いていた。

久しぶりに、飲み過ぎてしまったようだ。
とんだ失態だ。

私もアルコール依存症!???
夫婦でアル中なんて、自慢出来ない。。。。

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プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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