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酒、人を呑む 「遠くの孫~1」

人生とは、まことに、偏狭なものだ。

しばらく、夫の両親とは音信不通になっていたが、
息子が生まれたことで、交流が再開した。

しかし、横浜と山口という遠距離、
わだかまりも残したままなので、
孫見せの帰省は、年に1度、あるかないかの間隔。

当時、親の家から車で20分程の所に、
夫の長姉夫婦が住んでいた。

義姉は、すでに女の子を2人産んでいた。
その孫娘たちは、おじいちゃんに溺愛されていた。

うちの息子は、孫としては3番目。
でも、一応、内孫の男子なので、
少しは、歓迎されるかと思ったが……。

「遠くの孫は、懐かんから、
 近くにいる孫が、いちばんカワイイ」

そう放言したお義父さんは、正直者だが……。

普通のおじいちゃんは、
孫の前で、そんなことは言わないものだ。
お義父さんは、口が過ぎる。

わだかまりは解けることなく、
火種として、くすぶっていた。

息子が生まれてから、4度目の帰省。

義姉の小2の娘と、
うちの子ども(息子5歳、娘3歳)を連れて、
海水浴へ繰り出した。

子守りは、夫とお義父さんに任せて、
私は、松林の木陰に敷いたシートの上に座り、
荷物番をしていたのだが……。

お義父さんは、海辺と松林の間を
行ったり来たり、忙しい。

「のどが渇いた」と言っては、
水筒に入れて持参した焼酎を口に含ませていた。
 
アルコールが注入されると、
エンジンがかかり、孫たちの待つ砂浜へ……。

少し経つと、また、舞い戻って来て、
水筒を持って、ラッパ飲みの繰り返し。

私の視線が気になったようで、
決まりが悪そうに、つぶやいていた。

「これは、ワシの命の水だから、
 これを切らしたら、大変なことに……」

子ども好き、酒好きのお義父さんは、
よく遊び、よく飲んでいた。

この後、命の水が切れて、
本当に、大変なことになったのだった。

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No title.

「遠くの孫は、懐かんから、
 近くにいる孫が、いちばんカワイイ」

うちの母親とかぶります。

子供さんらも心配ではありますが、記憶に残ってないことを願いつつ・・・。

それより、ご主人様の耳にもはいっているのか?と心配です。
自分の大切な子供をかわいがってくれない親に対しての気持ちをどうクリアにしていけばいいのか?と私も未だに深い傷のままです。
そんな心の傷もまたアルコールへ導いているのでは?
とこれはこじつけすぎかもしれませんが(汗)

男の人の子供のころに言われた親からの言葉。
なかなかクリアにできないもののように感じます。




嫁。様

お義父さんの言葉が直球で心に刺さった私は、
夫にも自分の母にも言い触らしてしまいました。

弱輩者でしたし、
アルコール依存症の事も理解していなかったので……。

「配慮が出来ない、バカ親だから、
 まともに相手しなくていいから。。。」
と、夫は言っておりました。

自分の親をそう言って見限る夫に、
親子関係の希薄さを感じました。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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