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酒、人を呑む 「爆弾発言」

人生とは、まことに、お節介なものだ。

さほど、花嫁衣装に思い入れもなかったので、
入籍だけで充分だった。

2月の大安に、ふたりで婚姻届を出し、
ちょっと高めのワインで、乾杯した。

3月の中頃だったと思う。

職場の友人Tさん宅で、お茶をご馳走になり、
お喋りに花を咲かせていた。

Tさん宅は、車通勤の夫の帰り道でもあったので、
彼が立ち寄り、私を拾う手はずになっていた。

いつもは、玄関先でお辞儀だけの夫が、
この日は、Tさんに親しげに話しかけていた。

「来月、結婚式がありますから、
 Tさんも、是非、いらして下さいね!!」

彼が、私の友人を誘っている。

「誰が結婚するの? 
 Tさんも知ってる人なの???」

ちんぷんかんの私に、

「俺たちに決まっているだろう」

初耳である。

「式場も、日取りも、決めて来た。
 これ以上、年をとると花嫁衣装が似合わなくなるからな」

彼の爆弾発言に、私も友人も顔を見合わせてしまった。

「なんだか、突然で、びっくりしたけど、
 まずは、良かったんじゃない!?  おめでとう!!」

友人は祝福してくれたが、私は戸惑うばかり。

「本当に、決めちゃったの?」
「本当に、決めて来た!!」

彼が言うには、配偶者控除を申請した時、
「結婚式は、いつだ?」
と、上司が当然のように尋ねて来たそうだ。

式の予定はない事を話すと、
「式は挙げた方がいい!! 任せろ」
と、業務命令の如く言い切られてしまったそうで……。

当時の営業先が、結婚式場だったこともあり、
上司が、そこの支配人と話をどんどん進めて……。

「○○会社さんにはお世話になっていますから、
 精一杯お手伝いさせて頂きますよ」

支配人さんは、破格の割引料金を提示して、
貧乏な私たちを応援してくれたそうで……。

「今がチャンス!!」とばかりに、
彼は、その話に飛び付いてしまったのだ。

こうして、4月の日曜日(友引)が、
私たちの結婚式と披露宴の日に確定。

1ヶ月もない準備期間に、てんてこ舞い!?

当日の式場で、
両家の親たちが初対面の挨拶を交わし、
慌ただしくも滞りなく、
挙式、並びに披露宴は終了。

普段は、酔いが顔に出ない酒豪の夫だが、
この日ばかりは、次々に酌を受け、頬は紅潮。
だいぶ、酔いが回っているように見えた。

新郎24歳、新婦26歳の春。

お節介な上司のお陰で、人前で、
私たちは、永遠の愛?を誓うことが出来た。

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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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