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酒、人を呑む 「無礼講」

人生とは、まことに、面倒なものだ。

共同生活がスタートした年の暮れ、
彼に連れられ、新幹線を乗り継いだ。

行先は、彼の両親が暮らす山口県。

社会人としての「けじめ」だろうか。
彼は、私を両親に会わせると決めたのだ。

1983年の晦日、
夜も遅くなってからの到着だったので、
挨拶もそこそこに、私たちは休ませていただいた。

翌日は、彼の父親の車を借りて、二人でドライブ。

錦帯橋を渡ったり、
瀬戸内の海に浮かぶ島を案内してもらったり……。

目に触れる景色の全てが、驚きと新鮮で溢れていた。
こんなに雄大な環境で育った彼に羨ましさを覚えた。
          
その晩は大晦日で、
彼の姉夫婦とその幼子たちも加わり、
にぎやかに、夕食が始まった。

彼の父は、昼間から、焼酎のお湯割りを
ちびちび飲んでいたようで、かなり上機嫌。

熊本生まれの父親、鹿児島生まれの母親、
山口育ちの姉たちやその子どもたち。

方言が飛び交う会話にはうまく入り込めず、
私は愛想笑いで誤魔化していたが……。

手持ち無沙汰で、
飲むペースがどんどん早まってしまい……。

酔うと笑い上戸になる私は、
むやみやたらに可笑しさが込み上げて来て、
ひとりで、ケタケタ笑っていた。

そんな私を指差して、突然、お義父さんが、
「女優の島田陽子に似ている」と言い出した。

一同に注目され、戸惑っていると、
「全然、似てないよ~。 爺さん、相当、酔ってるなぁ」
彼が大声で打ち消し、笑い飛ばしてくれた。

たぶん、お義父さんが知っている、
唯一の女優さんだったのだろう。
私への精一杯のお世辞なのだと思った。

食事を終えた者たちは、席を離れ、
テレビに見入ったり風呂に入ったりと自由にしていた。

呑兵衛たちだけが、ズルズルと飲み続けていた。

正面にいたはずのお義父さんが、
いつの間にか、私の真横に座っていた。

「めんこかね~~~~」とか言いながら、
私のほっぺにチューをした。

「○○より、ワシの方が、よか、男ばい!!」

自分の息子と対抗して、どうする???
しかし、お義父さん同様、私も充分に酔っ払っていた。

「よか、男に、乾杯~~~~」

彼は、切らした煙草を買いに外へ出て行ったので、
私は、お義父さんとふたりでの酒盛りになっていた。

その間、握手されたり、頭を撫でられたり……。
今、思えば、セクハラ行為!?なのに……。

酔っ払い同士は、羽目を外しがち。
酒の力が、無礼講にさせる。

勧められるままに、何度もおかわりしていたら、
酔いが回って、眠たくなって来たので、
一足先に、2階で休ませてもらうことに……。

布団に転がって、
うとうと寝かけて、事件が起きた。

一気に、酔いが吹っ飛ぶことに……。

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No title.

初対面、それも人生において、
1番緊張する対面にも関わらず、
楽しい大晦日の場面が想像されます。
それも酒のおかげ??でしょうか。

続きが気にかかります。
とんでもないことが起きてなければ・・・。
と願うばかりです。

嫁。様

お義父さんの第一印象は、
お喋り好きな面白いおじさん!?だったので、
油断してしまいました。

適量のお酒は、場を楽しませますが、
度を超えたお酒は、最悪でした。。。。

アルコール依存症という病気があることも
知らなかった20代の頃の出来事です。

今思うに、
お義父さんもアルコール依存症だったのでした。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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