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酒、人を呑む 「祝い酒」

人生とは、まことに、残念なものだ。

卒業後、下宿を引き払い、家に戻った。
遊んで暮らせる身分ではなかったので、
取り合えず、また、バイトを探す。

そこに居るだけで、お金が頂けるという、
怠け者の私に、打って付けの仕事があった。

住宅街の中古一軒家での、お留守番だ。

オープンハウスの旗に誘われて、
間取り等を見学に来た人たちに、
記帳をお願いし、物件のチラシを配る。

午前10時から午後4時まで、
その家に居れば、何をしてもOK。
寝転んだり、お菓子を食べたり、
読書、手芸等で、時間を潰した。

平日は、ほとんど来客ナシ状態。
接客は土日に集中したが、
混雑するほどではなかった。

ずっと、売家の買い手がつかないまま、
3か月ほどたった、ある日、
経費削減で、「お留守番」は終了した。

気楽な仕事だったのに、残念だ。
また、無職になってしまった。

家にいても、肩身が狭い。

地元には、ろくな勤め口がない。
東京に出れば、仕事はたくさんある。
だから、家を出て、東京で働く!!

束の間のひとり暮らしで味を占めた私は、
家を飛び出す口実を探していたのだ。

東京での部屋探しを思い立った時、
下宿していた後輩のことが、頭に浮かんだ。

ひとり暮らしには、近くに知人がいた方が心強い。
大学3年だった彼に、近場の物件の下調べを頼んだ。

彼のお陰で、
手頃なアパートが見つかり、引っ越し完了。

「引っ越し祝い」ということで、彼が酒を振舞ってくれた。

「東京へ、ようこそ。 乾杯!!」

コップ酒を一気に飲み干す彼。
つられて、私も酒を口にした。

初めての酒はウマイとは思えなかったが、
簡単に喉を通り抜けて、グビグビ飲めた。

「心機一転、一から出直し、頑張ります! 
 これからも、よろしくお願いします!!」

職探しは、まだ、これからだというのに……。
順風満帆な気分で、浮かれていた。

大酒飲みの父のDNAを受け継いでいたようで……。
この日から、酒は私の友になった。

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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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