人生とは、まことに、劇的なものだ。
日本武道館での卒業式、
会場内の壁際には、黒い学ラン姿の下級生が、
警備に駆り出されて、ずらりと並んでいた。
その中に、かつて私が入っていたサークルの後輩
(体育会にも所属)も、立っていたらしい。
ひとりで、式に参列した私は、
自分の居場所を確保するだけで、精一杯。
知人がいるかどうかを捜すことは不可能なほど、
会場は、ごった返していた。
彼は、心細げにトボトボ歩く私を見たと言う。
思わず、駆け寄りたくなったが、
列を離れることは厳禁だったので、
ずっと、その姿を目で追いかけていたそうだ。
彼の視線に気付いて、私が顔を向けたら、
合図を送りたいと構えていたそうだが……。
その時の私は、彼の存在に気付くことはなかった。
卒業式での私の知らないエピソードを
後になって、彼から聞かされ、私はびっくりした。
確か、新歓コンパの時、
新入生の彼に、先輩として酌をしたが……。
その後、私が、引きこもったので、
面と向かって、言葉を交わしたのは、
後にも先にも、あの新歓コンパの時だけ。
にもかかわらず、
義理堅い彼は、幽霊部員となった私にまで、
年賀状や、暑中見舞いを送ってくれて……。
私の具合をさりげなく気遣う、心優しい後輩だった。
でも、まさか、あの広い会場で、
私を見つけていたとは、思わなかった。
これを、「運命の再会」と、いうのかもしれない。
卒業後の夏も、暑中見舞いの葉書が届いた。
元祖?フリーター生活に突入する私にとって、
彼の存在は、何かと便利で心強いものに……。
日本武道館での卒業式、
会場内の壁際には、黒い学ラン姿の下級生が、
警備に駆り出されて、ずらりと並んでいた。
その中に、かつて私が入っていたサークルの後輩
(体育会にも所属)も、立っていたらしい。
ひとりで、式に参列した私は、
自分の居場所を確保するだけで、精一杯。
知人がいるかどうかを捜すことは不可能なほど、
会場は、ごった返していた。
彼は、心細げにトボトボ歩く私を見たと言う。
思わず、駆け寄りたくなったが、
列を離れることは厳禁だったので、
ずっと、その姿を目で追いかけていたそうだ。
彼の視線に気付いて、私が顔を向けたら、
合図を送りたいと構えていたそうだが……。
その時の私は、彼の存在に気付くことはなかった。
卒業式での私の知らないエピソードを
後になって、彼から聞かされ、私はびっくりした。
確か、新歓コンパの時、
新入生の彼に、先輩として酌をしたが……。
その後、私が、引きこもったので、
面と向かって、言葉を交わしたのは、
後にも先にも、あの新歓コンパの時だけ。
にもかかわらず、
義理堅い彼は、幽霊部員となった私にまで、
年賀状や、暑中見舞いを送ってくれて……。
私の具合をさりげなく気遣う、心優しい後輩だった。
でも、まさか、あの広い会場で、
私を見つけていたとは、思わなかった。
これを、「運命の再会」と、いうのかもしれない。
卒業後の夏も、暑中見舞いの葉書が届いた。
元祖?フリーター生活に突入する私にとって、
彼の存在は、何かと便利で心強いものに……。