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酒、人を呑む 「壊れ物注意」

人生とは、まことに、厄介なものだ。

私が20歳の夏、
母が、手術で3週間ほど入院した。

退院してからも、
母は、寝たり起きたりの生活だった。

高校受験に向けて、中3の妹は勉強に専念。
家事全般は、私の仕事になった。

母は専業主婦だったので、
母子家庭になってからも、
家事に私の出番は、ほとんど無かった。

経験がないのだから、要領が悪い。
体に疲れが貯まる。
心にストレスも貯まる。

頑張り過ぎたのかもしれない。

全てが面倒になり、
全てに投げ遣りになって、
学校へ行くのも、やめてしまった。

部屋に閉じこもり、ひたすら食べ続けた。
旺盛な食欲で、見る見る太っていった。

うら若き乙女は、体型を気にしてダイエット開始。
そして、お決まりのコース。
体重が少し戻ると、必ずリバウンドした。

母は復活したが、
過食と拒食を何度も繰り返し、私は壊れた。

私の人生は、終わったな。。。。

思い通りにならない現実にイライラし、
やけっぱちになっていた。

愛煙家の父が吸っていた「ハイライト」を
自販機で買い、恐る恐る、ふかしてみた。

不味かった。
鼻の奥がヒリヒリして痛かったが、
異常な食欲は、落ち着いた。

体調が戻りつつある喜びも束の間、
「煙草を吸う女は、キライだよ」
吐き捨てるような母の言葉が心に突き刺さった。

私の苦しみを、
母は分らないし、分ろうともしてくれない。
母の存在が、腹立たしかった。

聞こえない振りをして、
煙にむせびながらも、煙草を吸い続けた。

「次は、アルコールだ!」

怖い父は他界していたので、
あの頃の私には、もう、怖いものはなかった。

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No title.

人って弱いですね。
そんなことを少しだけわかったのは23歳の時でした。
食べることも寝ることもできないでいました。
何かに頼りたい、誰か助けてとそう思ってました。
しかし、その後で強さを身につけてました。
もろくて壊れてしまいそうだと心配をかけまくったけど、
強くなれてました。
<あの頃の私には、もう、怖いものはなかった。
の言葉には何か深いものを感じました。

嫁。様

監視役の怖い父がいなくなったので、
いい子ぶる必要もなくなり、だらけ放題。

自分の弱さに甘えて、
悲劇のヒロインを楽しんでいたように思えます。

結局、家族や友人が支えてくれて、許してくれて、
今の自分がいます。
ありがたいことです。。。。



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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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