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酒、人を呑む 「弟分」

人生とは、まことに、不思議なものだ。

身近にいた大人の男たちは、
盆暮れ、正月、冠婚葬祭、
ワイワイ騒いで、酒を飲んでいた。

大人の女たちは、その給仕に追われ、
バタバタと走り回るだけで、
誰一人、酒を口にしていなかったように見えた。

そんな子供時代を過ごした私は、
「酒は男の飲み物」と、思い込んでいた。

私の母も、下戸だった。

学生時代、コンパと称して、
飲み会が繰り返されたが、私は1滴も飲んでいない。

母同様、飲めない体と信じ込んだまま、
飲みたいとも思わなかった。

先輩たちに、酒を勧められても、
「飲めません。。。。。」

私の代わりに、同級生の男子が飲まされ、
酔い潰れていた。

呑兵衛の父を見て育って来たので、
酒に弱い男がいるなんて、信じられなかった。

私が3年生の時、
所属していた文系サークルのコンパに、
中途で入部してきた1年生の男子が顔を出した。

すでに、体育会系のクラブに入っていた彼は、
「運動部は男だけで、女子がいないから、
 なんか、つまんなくて……」
そんな軽い理由で、サークルの掛け持ちをしていた。

コンパ会場で、新メンバーの彼は、
私の隣に座り、女先輩から酌されて、上機嫌だった。

私と同い年の姉がいると、
人懐っこい笑顔を振りまく彼に親しみを感じた。

大酒飲みの父が嫌いで、
酔っ払いを嫌悪していたはずなのに……。

彼の豪快な飲みっぷりに圧倒されて……。
不思議なことに、
酒に強いルーキーが、頼もしい弟のように見えた。

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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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