人生とは、まことに、不安なものだ。
進路を控えた高3の春、父を亡くした。
「自分の子どもには、学歴を…」
義務教育しか受けていない父の
こだわりのおかげで、
私は進学組に席を置いていたが……。
忌明けで、学校に行くと、
担任教師が、「初級公務員」受験を勧めて来た。
1970年代後半、
大黒柱を失った母子家庭では、
経済的に大学進学は無理だろう。
高卒で、じゅうぶんだ。
小学6年生の妹がいるのだ。
姉である私が働いて、家計を支えるのが当然。
「早く、死ねばいいのに…」
その望みは叶ったが、事態は思わぬ方向に……。
「父の代わりに私が稼ぐ!? そんなのイヤだ」
あくまでも、自分勝手な娘である。
勉強なんか、好きじゃないのに、
「もっと、勉強したい」と、うそぶくと、
担任が、学校推薦の進学先を探してくれた。
志望校ではなかったが、現役合格への近道なので、
すぐに、その話に乗ってしまった。
「取りあえず、学歴だけは、何とかなりそうだよ」
父の墓前にカップ酒を供えて、報告した。
この大学に行っていなければ、
おそらく、夫に出会うこともなかったと、思う。
進路を控えた高3の春、父を亡くした。
「自分の子どもには、学歴を…」
義務教育しか受けていない父の
こだわりのおかげで、
私は進学組に席を置いていたが……。
忌明けで、学校に行くと、
担任教師が、「初級公務員」受験を勧めて来た。
1970年代後半、
大黒柱を失った母子家庭では、
経済的に大学進学は無理だろう。
高卒で、じゅうぶんだ。
小学6年生の妹がいるのだ。
姉である私が働いて、家計を支えるのが当然。
「早く、死ねばいいのに…」
その望みは叶ったが、事態は思わぬ方向に……。
「父の代わりに私が稼ぐ!? そんなのイヤだ」
あくまでも、自分勝手な娘である。
勉強なんか、好きじゃないのに、
「もっと、勉強したい」と、うそぶくと、
担任が、学校推薦の進学先を探してくれた。
志望校ではなかったが、現役合格への近道なので、
すぐに、その話に乗ってしまった。
「取りあえず、学歴だけは、何とかなりそうだよ」
父の墓前にカップ酒を供えて、報告した。
この大学に行っていなければ、
おそらく、夫に出会うこともなかったと、思う。