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カーネーション

先だって、実家に顔を出した時、
母が、ペーパーフラワーの本とその材料を出して来た。

それは、実家に住む妹が、
押入れの奥に、15年以上も放置したままの物だった。

捨てるのはもったいないと思ったようで、
手芸好きな私に、白羽の矢が当たってしまった。

年を重ねるごとに、細かな作業が面倒になってきて、
材料を見せられても、作る気力も興味も湧かなかったが……。

せっかくの母の思い付きを、無下に断ることも出来ず、
心とは裏腹な一言まで添えてしまった。

「今度、遊びに来る時は、
 出来上がった花を持て来るから、楽しみにしててね」

いくつになっても、母の前では、いい子ぶる私。

母には、夫の詳しい病状を知らせていない。
夫の奇行に振り回される日々の苦悩を吐露してしまえば、
少しは気が晴れるかもしれない。

でも、所詮、ただの愚痴、展望のない話だ。
聞かされた方も、言葉に詰まるだろう。

アルコール依存症なんて、
もともと、酒を飲まない母に理解できるような、
簡単なものではないのだ。

ずるずる酒を飲み続ける、だらしない男。
娘を苦しめる、ろくでもない男。。。。。

私の夫への偏見を生むだけだ。

高齢の母に、心配の種を与える訳にはいかない。

仕事の合間、家事の合間に、せっせと内職した。
カーネーションが1本出来上がるたびに、
優しい気持ちになれた。

P1060094.jpg

花の出来栄えを夫に見せると、

「部屋に飾った造花は、埃だらけになるだけだね」

造花の存在を否定するような口調に、
夫の心の色を垣間見たような気がした。

アルコールの悪影響で、どうにもならない苛立ちが、
言葉を刺々しくさせている。

埃は叩けば、落ちるが、
夫の身体に沁みついたアルコールは、
死ぬまで消えないだろう。。。。。

「飲めない身体」であることを認めない夫は、
「飲んで死ぬ道」を加速中。

いつ、どこで、どんなふうに死んでもおかしくない状態。
死と隣り合わせの夫を、見張るような生活。
毎日が虚しく過ぎて行く。。。。。

本日、秋晴れの青空、
カーネーションの花束を抱えて、
母に会いに行く。

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No title.

すごいのが仕上がるんですね!!

私が作るとそうはならないか・・・(涙)
私も花よりぜんぜん団子派ですが、こんな私でも、
やはり部屋に花があると気持ちがぜんぜん違って、
心休まる気がします。

たまに花がうちにやってくることがあるのですが、
そんな時は結構大切にかわいがるにも関わらず
みんな、枯れてしまいます。
ちなみにサボテンまで枯らした経験があります(汗)

ご主人様の心も少しでも花で癒せたらいいですね。

内緒様

お声掛けに、戸惑っております。

日々のぼやきを書き連ねているだけの私には、
荷が重すぎます。。。。。

お役に立てなくて、申し訳ございません。
悪しからずお許し下さいませ。

嫁。様

ちなみに、私も、植物をよく枯らします。
花も木も人も、育てるのがヘタなようです。

息子や夫を見ていると、育て方?を間違えた!?
ように思えてなりません。。。。。(ーー;)

頑張りすぎず、優しさを感じます。人を思えるなんて素晴らしいです。

私もお酒が好きだから、気をつけないといけないと感じます。
正しい知識をもってお酒とは付き合いたいですね!

夜勤様

お立ち寄り、ありがとうございます。

私も、いける口なので……。
毒にならない?飲み方で、
いつまでも、お酒を楽しみたいと思っております。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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