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帰巣本能

具合が悪いから、早めに床に就いたはずなのに、
1時間足らずで、夫は起きて来た。

そして、今夜も、また始まった。

「散歩に行く」

明らかに酩酊状態なので、

「今は、やめた方がいい。
もうひと寝入りしてから、行こうね」

優しくいさめたが……。
言い出したら聞かない、酔っ払いだ。

玄関の壁にもたれて、かろうじて立ちながら、
夫は、手のひらを差し出した。

「自転車の鍵、貸して。。。」

散歩なら、自分の足で行けばいい。

今年の正月早々の昼時、
夫は、自転車でひっくり返って、怪我をした。
夜間、我慢できない激痛で病院に駆け込み、
散々な目にあったのだ。

私の脳裏に不安がよぎる。

「お酒飲んでいるでしょ。
 自転車には乗れないからね」

夫は不服そうな顔だったが、
言い返すことなく、家を出て行った。

おそらく、近くのコンビニで、
ウイスキーの小瓶を買って、戻って来るのだろう。

高を括っていた。

遅い。遅すぎる。
夫が家を出たのは、夜9時半頃だった。
1時間たち、2時間たち、
とうとう、深夜12時を回った。

夫の携帯電話は、部屋に置きっ放しだった。
いったい、どこへ行ってしまったのだろう。

捜しようがない。
朝まで帰らなかったら、「捜索願いを出そう」
最悪を覚悟する。

午前2時近く、
勢いよく玄関を開けて、夫が戻って来た。
やっぱり、千鳥足。
しかも、ドロだらけ、キズだらけ、アザだらけ。

よたよた歩いて、倒れて起き上がりの繰り返しで、
やっと帰って来たのだろう。

こんなに、酔っ払っていて、
よくぞ、家にたどり着けたものだ。
帰巣本能!?に、感心してしまった。

夫は布団の上に倒れ込み、寝てしまった。

夫が持ち歩いていたポシェットには、
飲みかけのウイスキーの小瓶が入っていた。

余計な事、やってはいけない事とは思ったが、
ウイスキーの小瓶をそっと抜き出し、捨てた。

もう、これ以上、飲んでほしくなかった。。。。。

病気の身体が、酒をどんどん飲ませている。
四六時中、
酒のことが頭から離れないのだろう。


2年前、アルコール依存症の入院治療を受けた夫は、
自身の病気の再発に気付いているはずだ。

病気を甘く見ていたのだ。
早めに手を打たなかったため、病気は悪化の一途だ。

今では、
病気に立ち向かう気力は失せて、諦めてしまっている。
どうしたら、夫の考えが変わるのだろうか。

妙案もなく、堂々巡りが続く。。。。。

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No title.

はじめまして。
我が家は実父がアルコール依存です。

現在70歳手前ですが、若い時から絡んでくるわ
理屈はこねるわ 面倒くさい父だでしたが、実母が亡くなってから怒濤の転落で昨年からは問題行動のオンパレードです。

でも、精神科には絶対行かないと言い張っています。
今は独居で(どうせ食べれませんけど)宅配弁当等のライフラインを確保して放置していますが、毎日、ろくでもない電話がかかってきて(体調不良←あたりまえ。 浪費。人の悪口)一応電話だけは出るようにしているのですが、こっちが滅入ってしまいます。

先月、栄養失調と脱水で内科に入院して、元気になって退院してきました。

今日で退院1ヶ月ですが、もう連続飲酒に戻っています。

うちも無限ループに陥っています。
この先いつまで、こんな暮らしが続くのでしょうか・・・ 














まっちゃん様

お父様のご病気、ご家族の方の心痛は、
如何ばかりかと、お察し申し上げます。

70歳近くとの事、
アルコール依存症の平均寿命をかなり上回っています。
亡くなられたお母様が、
よく面倒を見て来られた結果だと思います。

ろくでもない電話のお相手は、大変でしょうが、
お父様に残された時間はそう多くはないような気がします。

冷静な応対で、病気の行方を見守られることを祈ります。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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