「何が、夫のためになるのか」
模範解答はある。
まずは、アルコール専門医療機関で、
病気の身体を治療し、酒を完全に断つこと。
再び飲酒しないよう、
自助グループと繋がること。
でも、これは、私の願望に過ぎない。
2年前、
日本最大のアルコール依存症入院治療施設で、
2か月ほど過ごした夫は、
もう二度とお世話になりたくないと心を閉ざした。
出会ってから、30年余り、
夫を見て来て、夫の考え方、価値観を思うと……。
酒を友として、頼りにして生きて来た夫が、
簡単に友を手放すはずはなく……。
死ぬまで飲み続ける勢いだ。
強制入院にすがるしか、
他に道はないのだろうか。
最近の夫は、身体の痛みを口にしなくなった。
痛みは、禁断症状の一種だったのだろう。
酒が、いいあんばいに体中を巡って、
小康状態を保っているのかもしれない。
代わりに、奇行が目に余る。
昨夜も、9時前に、寝床に入った夫は、
90分おきに目を覚ましては、
とんちんかんなことを口走っていた。
あげく、深夜1時過ぎ、仕事着に着替え始めた。
まだ、出勤には早すぎるので、引き止めたが……。
「待ってるから、おいでって言われたんだ」
「誰に?」
「わかんないけど……。
入院したくないから、会いに行って来る」
「どこへ?」
「場所なんて、わかんないよ。
来いって、呼ばれたから、行かなきゃ」
夫は、車で何処かへ行ってしまった。
「事故死」不吉な言葉が脳裏をよぎったが……。
「何があっても夫の自己責任」と、
自分に言い聞かせ、先に寝た。
何時に戻ったのか分らないが、
早朝、目が覚めて、夫のベッドを覗くと、
何事もなかったかのように、夫は寝ていた。
いつものように朝食を済ませ、「じゃあ、行ってくる」と、
いつものように挨拶して、家を出て行った。
夫を送り出してから、ため息が止まらない。
私は、夫を見殺しにしているのかもしれない。
弱っていく様子を観察しているだけだ。。。。。
この時期、こんなに悠長に構えていたら、
取り返しがつかなくなるかもしれないのに……。
手をこまねいて、
見ているだけの自分が、薄ら恐ろしい。。。。。
模範解答はある。
まずは、アルコール専門医療機関で、
病気の身体を治療し、酒を完全に断つこと。
再び飲酒しないよう、
自助グループと繋がること。
でも、これは、私の願望に過ぎない。
2年前、
日本最大のアルコール依存症入院治療施設で、
2か月ほど過ごした夫は、
もう二度とお世話になりたくないと心を閉ざした。
出会ってから、30年余り、
夫を見て来て、夫の考え方、価値観を思うと……。
酒を友として、頼りにして生きて来た夫が、
簡単に友を手放すはずはなく……。
死ぬまで飲み続ける勢いだ。
強制入院にすがるしか、
他に道はないのだろうか。
最近の夫は、身体の痛みを口にしなくなった。
痛みは、禁断症状の一種だったのだろう。
酒が、いいあんばいに体中を巡って、
小康状態を保っているのかもしれない。
代わりに、奇行が目に余る。
昨夜も、9時前に、寝床に入った夫は、
90分おきに目を覚ましては、
とんちんかんなことを口走っていた。
あげく、深夜1時過ぎ、仕事着に着替え始めた。
まだ、出勤には早すぎるので、引き止めたが……。
「待ってるから、おいでって言われたんだ」
「誰に?」
「わかんないけど……。
入院したくないから、会いに行って来る」
「どこへ?」
「場所なんて、わかんないよ。
来いって、呼ばれたから、行かなきゃ」
夫は、車で何処かへ行ってしまった。
「事故死」不吉な言葉が脳裏をよぎったが……。
「何があっても夫の自己責任」と、
自分に言い聞かせ、先に寝た。
何時に戻ったのか分らないが、
早朝、目が覚めて、夫のベッドを覗くと、
何事もなかったかのように、夫は寝ていた。
いつものように朝食を済ませ、「じゃあ、行ってくる」と、
いつものように挨拶して、家を出て行った。
夫を送り出してから、ため息が止まらない。
私は、夫を見殺しにしているのかもしれない。
弱っていく様子を観察しているだけだ。。。。。
この時期、こんなに悠長に構えていたら、
取り返しがつかなくなるかもしれないのに……。
手をこまねいて、
見ているだけの自分が、薄ら恐ろしい。。。。。