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痛み止め

「あの~、失礼ですが……。
 ご主人様、お酒を飲まれてますよ、ね」

年配の女性看護師が遠慮がちに聞いて来た。
酔っ払いの付添いは、肩身が狭い。。。。。

正月の3日ということで、
大目に見てくれている様子が有難かった。

夫は、脳のCT撮影を終え、
脳神経外科の診察では、異状なし。
頭の傷口は、大きなガーゼでフタされ、
ひと安心したのも束の間。

足の診察は整形外科へ回され、
また、順番を待つことに……。

その間、救急車が3回、急患を運んで来たので、
夫の番は、どんどん後回しにされてしまった。

待ちくたびれた夫は、「早くしろよ!」と、騒ぎ出し、
車いすから立ち上がり、勝手に診察室に入ってしまった。

慌てて息子が父親を連れ戻し、
車いすに座らせると、「帰る、帰る」と、騒ぎ出し……。

他の患者や家族たちは、静かに待っているのに、
夫だけが、ろれつが回らないお喋りを繰り返していた。

たちの悪い酔っ払いだ。
自分のことしか眼中にない。

夫をなだめて、すかして、くたくたになった頃、
やっと、整形外科の診察開始。

レントゲンの結果、足の痛みは指の脱臼と判明。
外れた関節を、医者が思いっきり、引っ張ると、

「イ~~・・・・・」

酒は、麻酔の役目を果たさず……。
夫は、半分出かかった悲鳴を噛み殺していた。

会計で法外な医療費を支払うと、
優に午前0時を回っていた。

帰路の車内で、夫が私に言った。

「財布を持って来なかった。 500円、貸して!」
「何を買うの?」

私の質問には答えず、今度は息子に話しかけていた。

「コンビニで車を停めて」
「コンビニには、寄らないよ」

息子が優しい口調で答えると、夫は黙ってしまった。

痛みはあるが、
ケガの処置を終えたことで、ほっとしたのだろう。

痛み止め代わりに、
また、酒を飲もうという魂胆が見え見えだ。

いつでも、どこでも、どんな時でも、
飲酒へと結び付けることが出来る夫
が、
哀れでもあり、可笑しくもあり……。

私は、心の中で、泣き笑い。
厄介だけど、
家族なんだから、受け入れるしかないんだなぁ。

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No title.

 6月初めからの書き込みを一気に、拝見させて頂きました。僕自身に対して警鐘を鳴らされてるように気分になってます。これからも立ち読みさせて頂きます。よろしく・・・<m(__)m>。

アルコリック様

お立ち寄り下さいまして、ありがとうございます。

独り合点で、迷走中!?ですが、
読み流していただければ、とても、うれしいです。(^-^)
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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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