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半狂乱

酒に飲まれた状況を自力で打破することは、
もはや不可能。

夫は近場の神社仏閣を詣でて、
他力本願の日々を送っていた。

「便箋と封筒ちょうだい」

夫の唐突な申し出をいぶかしく思い、
遠目に様子を見守る。

筆不精の夫に手紙は似合わない。
いったい何をしたためているのだろう。

夫は、書きかけの便箋を細かに破り捨てて、
新しく書き直していた。

ゴミ箱行きの紙切れが気になって、
夫の留守に拾い集めてしまった。

ジグソーパズルの感覚で組み立てていく。

なんと、夫は遺言を書いていたのだ。

どうやら、夫は、故郷の海に飛び込むらしい。
自分の生命保険金は息子と娘にあげる。
遺骨の処理の仕方も指示してあった。

アルコール依存症も進行しているが、
鬱の症状も色濃く出ている。

郷里での暮らしは中止になったばかりなので、
いつ決行するか不明だが……。

再度、早急な入院治療が必要になった。

そんな中、息子が書置きを郵便受けに忍ばせて、
いなくなってしまった。

封筒の表書きは「遺書」。
親への感謝と先に逝くことへのお詫び、
自分の生き辛さを丁寧な字でしたためてあった。

1か月ほど前に転職し、
将来への希望を明るく語っていたのに……。

3年ほど前に家を出た息子は、一人暮らしをしている。
あまり、実家には顔を出さないが、マイペースでやっている。
そんな風に、悠長に構えていた私は、パニック状態に……。

「死んじゃうよ。 あの子が一人で死んじゃうよ。
 何とかしてよ。 父親でしょ。 助けてよ

飲んだくれている夫を半狂乱で責め立てていた。

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非公開コメント

No title

これも承認制かな?

No title

おまえが単に酒飲みやすいだけの環境維持してるからこんなことになるんだよ

こんなコメント 絶対承認せんな
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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