問題行動を起こし、反省室で過ごした夫は、
主治医の配慮で、かろうじて強制退院は免れた。
病棟の出入口が施錠されている、
半開放病棟へ転棟することで、入院は続行された。
重症である印の赤バッチを胸に付けた夫は、
外泊訓練は禁止で、散歩も売店に行くのも、
看護師同伴でないと許可が下りない。
看護師は常に忙しくしているので、
夫は自分の都合を言い出せず、
じっと病室に籠っているという。
「何も出来ない。退屈だ。家に帰りたい」
行動の自由を制限された夫は、ぼやいていた。
「何もしないで、静かに過ごすことが、
今のパパに一番必要な治療なんだと思うよ。
癌を退治したばかりだし……。
ゆっくり身体を休ませてあげようね」
夫の身体を気遣いながら、
実の所、自分がゆっくり身体を休めていた。
私は、穏やかな一人暮らしを謳歌していたが、
夫は、飲みたくて飲みたくて仕方がなかったのだろう。
夫を見舞い、病室のテーブルの隅に置いてある
ノート型のカレンダーを見て、思わず絶句した。
日々のメモ書き用スペースは、もれなく、
「のまない」という文字の繰り返しで埋まっていた。
そして、退院予定日を境に、
「のまない」の記載はなくなり、空欄に……。
退院したら、飲むつもりなのだろう。。。。。

私の予想を裏切ることなく、
夫は退院後、すぐに飲酒再開した。
入院前と同じように、自室でこっそり飲んでいる。
足掛け5か月に及ぶ入院生活は、何だったんだろう。
アルコール依存症についての書物や家族会で、
夫の回復をイメージし、モチベーションを上げて来たが……。
執拗なまでに酒に執着する夫は、
酒に呑まれて人生を終える道を突き進む覚悟らしい。
その道連れが私だ。
「もう、別れた方がいいかも。
何回も入退院を繰り返しても、
パパはお酒を止めないし……。
結局、ママよりもお酒の方が大事ってことでしょ。
これ以上、ママがつらい思いをしないよう、
距離を置いた方がいい」
娘の口から出た言葉に、「潮時かな」と思いながらも、
踏ん切りがつかない。。。。。。
人間の体には、自然治癒力が備わっているはず。
立ち直りたい、回復したいという心が、
きっと、夫にもあるはずだ。
まだまだ、可能性を捨て切れずにいる。
主治医の配慮で、かろうじて強制退院は免れた。
病棟の出入口が施錠されている、
半開放病棟へ転棟することで、入院は続行された。
重症である印の赤バッチを胸に付けた夫は、
外泊訓練は禁止で、散歩も売店に行くのも、
看護師同伴でないと許可が下りない。
看護師は常に忙しくしているので、
夫は自分の都合を言い出せず、
じっと病室に籠っているという。
「何も出来ない。退屈だ。家に帰りたい」
行動の自由を制限された夫は、ぼやいていた。
「何もしないで、静かに過ごすことが、
今のパパに一番必要な治療なんだと思うよ。
癌を退治したばかりだし……。
ゆっくり身体を休ませてあげようね」
夫の身体を気遣いながら、
実の所、自分がゆっくり身体を休めていた。
私は、穏やかな一人暮らしを謳歌していたが、
夫は、飲みたくて飲みたくて仕方がなかったのだろう。
夫を見舞い、病室のテーブルの隅に置いてある
ノート型のカレンダーを見て、思わず絶句した。
日々のメモ書き用スペースは、もれなく、
「のまない」という文字の繰り返しで埋まっていた。
そして、退院予定日を境に、
「のまない」の記載はなくなり、空欄に……。
退院したら、飲むつもりなのだろう。。。。。

私の予想を裏切ることなく、
夫は退院後、すぐに飲酒再開した。
入院前と同じように、自室でこっそり飲んでいる。
足掛け5か月に及ぶ入院生活は、何だったんだろう。
アルコール依存症についての書物や家族会で、
夫の回復をイメージし、モチベーションを上げて来たが……。
執拗なまでに酒に執着する夫は、
酒に呑まれて人生を終える道を突き進む覚悟らしい。
その道連れが私だ。
「もう、別れた方がいいかも。
何回も入退院を繰り返しても、
パパはお酒を止めないし……。
結局、ママよりもお酒の方が大事ってことでしょ。
これ以上、ママがつらい思いをしないよう、
距離を置いた方がいい」
娘の口から出た言葉に、「潮時かな」と思いながらも、
踏ん切りがつかない。。。。。。
人間の体には、自然治癒力が備わっているはず。
立ち直りたい、回復したいという心が、
きっと、夫にもあるはずだ。
まだまだ、可能性を捨て切れずにいる。