父の日セールのにぎわいに合わせるように、
この時期、脳裏に浮かぶ写真がある。
30数年も前のことだが、
初めて、夫の下宿にお邪魔した時、
彼がアルバムを見せてくれた。
やんちゃ坊主な彼が、ページを進むにつれ、
私の知っている彼の顔に近づいていった。
談笑しながら、ページをめくり続け、
私は、ある一枚の写真に釘づけになった。
薄暗い部屋で、壁にもたれて座っている、
物悲しげな彼の顔が……。
そっくりなのだ。私の父に。
目の前にいる彼に、父の面影はないのに、
写真の中の彼は、父と瓜二つ。
何とも、不思議な気持ちだった。
実は、私は、父が苦手だった。
可愛がられた記憶がない。
私が17歳の時、
怖いだけの存在だった父は病死した。
父の監視から解放された私は、
たがが緩んで、ていたらくな日々を送っていた。
そんな折、彼の写真に姿を変えて、
ひょっこり父が現れたのだ。
縁起でもないので、
写真のことは、夫には黙っていた。
その後、夫と一緒に暮らすようになって、
再び、彼のアルバムを見る機会を得たが、
その写真は、もう、なかった。
影のある青年は、女心をくすぐるようで、
夫はモテたらしい。
写真は、欲しがった女性にあげたらしい。
もう見ることの出来ない、幻の写真。
もしかしたら、あの写真は、
娘の身を心配する父からの忠告だったのかも。
「俺のような男と一緒になるな!!」
父も大酒飲みで、酒で身体を壊した。
母は38歳で、未亡人になってしまった。
母と娘、夫運が悪いのか?
今さら、嘆いてみた所で、始まらない。
私の夫は生きている。
今、夫が生きていることへの
感謝を忘れないようにしようと思う。

夫の病気は、手ごわいので、
あんまり、深刻になりすぎると、
夫も自分も追い詰めてしまうことに……。
肩の力を抜いて、
運命を受け入れる。 現実を受け入れる。
きっと、道は開けると信じて……。
草葉の陰で、
父が心配そうに私を見ているような気がする。
この時期、脳裏に浮かぶ写真がある。
30数年も前のことだが、
初めて、夫の下宿にお邪魔した時、
彼がアルバムを見せてくれた。
やんちゃ坊主な彼が、ページを進むにつれ、
私の知っている彼の顔に近づいていった。
談笑しながら、ページをめくり続け、
私は、ある一枚の写真に釘づけになった。
薄暗い部屋で、壁にもたれて座っている、
物悲しげな彼の顔が……。
そっくりなのだ。私の父に。
目の前にいる彼に、父の面影はないのに、
写真の中の彼は、父と瓜二つ。
何とも、不思議な気持ちだった。
実は、私は、父が苦手だった。
可愛がられた記憶がない。
私が17歳の時、
怖いだけの存在だった父は病死した。
父の監視から解放された私は、
たがが緩んで、ていたらくな日々を送っていた。
そんな折、彼の写真に姿を変えて、
ひょっこり父が現れたのだ。
縁起でもないので、
写真のことは、夫には黙っていた。
その後、夫と一緒に暮らすようになって、
再び、彼のアルバムを見る機会を得たが、
その写真は、もう、なかった。
影のある青年は、女心をくすぐるようで、
夫はモテたらしい。
写真は、欲しがった女性にあげたらしい。
もう見ることの出来ない、幻の写真。
もしかしたら、あの写真は、
娘の身を心配する父からの忠告だったのかも。
「俺のような男と一緒になるな!!」
父も大酒飲みで、酒で身体を壊した。
母は38歳で、未亡人になってしまった。
母と娘、夫運が悪いのか?
今さら、嘆いてみた所で、始まらない。
私の夫は生きている。
今、夫が生きていることへの
感謝を忘れないようにしようと思う。

夫の病気は、手ごわいので、
あんまり、深刻になりすぎると、
夫も自分も追い詰めてしまうことに……。
肩の力を抜いて、
運命を受け入れる。 現実を受け入れる。
きっと、道は開けると信じて……。
草葉の陰で、
父が心配そうに私を見ているような気がする。