fc2ブログ

先例

退院後の夫は、精力的にAA会場に通っていた。
でも、酒を断ってはいない。
帰路、酒を仕入れて、酒と一緒に戻って来るのだ。

断酒への本気さが感じられない。。。。。。

断酒会の方が相談員をしている酒害相談会で、
隠れ酒している夫への不信感を訴えた時、

「自助グループに繋がっていれば、
 いつか、酒と縁を切りたくなる日が訪れます。
 だから、飲んでいてもいなくても、
 断酒の会に通い続けることに、価値があるのです」

飲酒しながらAAに通うなんて、おかしい。
酒を止めた人が止め続けるために、AAに参加している。
私には、そんなふうに思い込んでいるところがあった。

「回復の仕方は、人それぞれです。
 すぐ断酒できる人もいるし、再飲酒を繰り返す人も…。
 でも、会を離れなければ、必ず、断酒へと繋がります」

依存症からの回復者の声に後押しされて、
私は、夫の現状を見守る落ち着きを得たのだが……。

最近は、また、心が揺らいでいる。

あんなに熱心に通っていたAAへの足が遠のき、
夫は、ほとんど家で過ごしているのだ。

朝になると、朝食の気配で起きては来るものの、
目を閉じたまま、食べ物を口に入れている。
昨夜の酒が、体中に回っているのだろうか。
そのうつろな姿が、私を憂鬱にさせる。

食べ終わると、無言で自室に引き返し、
布団に潜り込んで静かに寝ている。

そして、昼食の気配で、また起き出して来るのだ。

こうして、3度の食事は必ず取り、薬の服用も忘れない。
ある意味、規則正しい生活だ。
酒さえ飲まなければ、身体は回復へと向かうのに……。

酒量の増加が、体調を悪くさせているのだろう。
ベッドでうつらうつらしている。
今の所、静かな病人だ。

どうせ、断酒なんて出来っこない。
AAも助けにならないと、
早急に結論付けてしまったのかもしれない。

夫は、ひとり、苦しみの中に沈んでいる。
私の存在は助けにならない。。。。。。

心がざわつくと、私はアルコール関連の本を開く。
そして、マーカーだらけの紙面を見返す。

「アルコール依存症という病気を何とかできるのは、
 断酒する気になった本人だけなのです。
 本人が断酒する気持ちになる以外に、
 病気の解決は不可能です


私に、夫の飲酒を何とかできる力は無い。
下手な手出し口出しは、事態を悪化させるだけ。

AAに行ってほしい。
寝てばかりいないでほしい。
いい加減、酒をやめてほしい。
私たちの将来を考えてほしい。

夫への注文が次々に浮かんで来て、
夫を非難したい気持ちが膨れて来て、
意地悪な心に傾いている時、
私は、自分自身を何とかするために、
家族会や自助会に顔を出すようにしている。

アルコール依存症者を抱える家族の話は、
私の知りたいことでいっぱいだ。
回復している人の家族の話は、良き先例となる。

いつか、きっと、
夫との穏やかな暮らしができるようになり、
今のこの苦しみにも、必ず終わりが来る。
いつか、きっと、願いは叶う。

先例に、希望をもらっている。

コメントの投稿

非公開コメント

でも、会を離れなければ、必ず、断酒へと繋がります

そんなの根拠のない妄想です。合う人もいれば、合わない人もいる。現に帰りに酒かってるんだから、AAや断酒会に期待しない方がいい。なぜ、酒を買うお金があるのか?持たすのか?不思議です。

No title

拝啓 いつも拝読させていただいています。
心身共にお疲れの事と思います・・・

AAでも無理な方はいます。私の友人もダメでした。
肝硬変から・・・どんどんとお決まりのコースでしょうね。

断酒させるのに一番手っ取り速いのって・・きっと

山とか絶海の孤島とか・・・遭難するのが一番いいかも
(食料は持参で)  結局は環境なのかも・・・

お金さえあれば、何処でも購入可能な環境にいては断酒は無理です。

患者さんたちは病院でも『家一軒分飲んだ』とか『高級車一台分飲んだ』等 武勇伝を言い合っているそうです・・・

無理なんです・・タバコでさえ止めるのに苦労するのに
タバコの数倍苦しいお酒ですもの・・・・

無関心を装い見守るしかないです・・・あとは・・・・
ご決断を・・・いかようにするか・・・です

せめてご自身のお身体をどうか御寵愛下さいますよう・・・

くま様

お立ち寄り、ありがとうございます。

藁にもすがる思いなのです。
良い方向に行った方を信じることで、
心を落ち着かせておりますが……。

あなた様のお言葉は、警鐘になります。
ありがとうございます。

774RR 様

雑文に、お付き合い下さり、
ありがとうございます。

今のところ、
「無関心を装い見守る」ような態度でおります。

決断は先延ばし状態、いい加減にすることで、
思い詰めがちな心を開放しております。

私の体を案じて下さり、
本当にありがとうございます。

こんばんは
通りすがりです。
ご主人治す気持ちはおありだと思います。
私はいま現在ご主人と同じ状況。子供はいません。

私は何かに通ったりもしていませんが、自分自身では分かっています。
でも主人に甘えてしまいます。もしかしたらご主人も甘えもあるのかもしれません。
余計な事と思いながらコメント失礼します。読んだらけして下さいね

まり様

お立ち寄り、ありがとうございます。

夫は、病気を何とかしたいと考えていると思いますが……。
なかなか、お酒から離れられずにおります。
酒量に比例して、体調も悪くなって来ました。

でも、私の夫は、
いつまでも、負の風にさらされている男じゃないと思うことで、
私は、かろうじて、心を落ち着かせております。

まり様のご様子を案じていらっしゃるご主人様のためにも、
くれぐれもご自愛下さいますよう、お祈り申し上げます。


プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

ランキング
カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ