母の、そして、父の良き思い出をもつ人は、幸福である。
心に刻んだ幸せな思い出は、生涯の宝になるという。
娘は、どうなのだろう。
アルコール依存症という病気に取り付かれた夫は、
良き父と言えるのだろうか。
夫の身体に充満した酒は、
奇行と罵声に姿を変えて、家族を苦しめた。
巻き込まれた私は、もう、ヘトヘトで、
夫婦の縁を切ろうかと、密かに模索したこともあった。
自分は、夫に嫌気がさしても、
子ども達は、父を嫌いにならないで、
温かい目で見てほしいと願っていた。
病気の身体が、酒を飲ませ続けていること。
アルコールの影響で、人格も変わってしまうこと。
進行性の病気なので、このままでは長く生きれないが、
治療すれば、回復も可能なこと。
そして、何より、酒の奴隷と化したことで、
夫自身がどんなに酷く傷ついているかを、
折に触れて、子ども達に伝えた。
夫婦は、所詮、赤の他人だ。
私がいなくても、夫は平気でいられると思う。
でも、娘や息子から愛想尽かしされたら、
子煩悩な夫は、生きていけないような気がする。
きっと、酒に飲まれたまま、
その生涯を終えてしまうに違いない。。。。。

入院中の夫は外泊許可を得て、娘の結婚式に出席した。
招待客の殆どは、夫の病気を知らない。
披露宴の終盤、娘は両親への手紙を、
途中、幾度も涙で声を詰まらせながら読み上げた。
「…パパは、私が世界で一番好きな人だよ。
すごく、すごく大切に思っています。……」
世界一の称号を頂いた夫は、
私の隣で、頻繁に鼻をすすっていた。
「…子ども好きなパパに、私が産んだ、
とびきり可愛い孫の姿を見せたいです。
私にしてくれたのと同じように、
たくさん可愛がってほしいです。
だから、絶対に長生きして下さい。……」
夫は視線を落とし、ずっとうつむいたまま、
時折、目頭を押さえていた。
「…パパとママの子で良かった。
今まで、本当にありがとう!!」
読み終えると、娘は顔を上げ、はにかんだ。
涙が光るその笑顔が、いとおしくて……。
私たち夫婦は、宝物を授かったのだと、
今さらながら、子宝のありがたさを感じた。
父親思いの娘のためにも、今度こそ、
夫の回復が本物であるよう、切望している。
夫が、もっともっと、たくさんの良き思い出を、
娘にプレゼントし続けられるよう。。。。。
心に刻んだ幸せな思い出は、生涯の宝になるという。
娘は、どうなのだろう。
アルコール依存症という病気に取り付かれた夫は、
良き父と言えるのだろうか。
夫の身体に充満した酒は、
奇行と罵声に姿を変えて、家族を苦しめた。
巻き込まれた私は、もう、ヘトヘトで、
夫婦の縁を切ろうかと、密かに模索したこともあった。
自分は、夫に嫌気がさしても、
子ども達は、父を嫌いにならないで、
温かい目で見てほしいと願っていた。
病気の身体が、酒を飲ませ続けていること。
アルコールの影響で、人格も変わってしまうこと。
進行性の病気なので、このままでは長く生きれないが、
治療すれば、回復も可能なこと。
そして、何より、酒の奴隷と化したことで、
夫自身がどんなに酷く傷ついているかを、
折に触れて、子ども達に伝えた。
夫婦は、所詮、赤の他人だ。
私がいなくても、夫は平気でいられると思う。
でも、娘や息子から愛想尽かしされたら、
子煩悩な夫は、生きていけないような気がする。
きっと、酒に飲まれたまま、
その生涯を終えてしまうに違いない。。。。。

入院中の夫は外泊許可を得て、娘の結婚式に出席した。
招待客の殆どは、夫の病気を知らない。
披露宴の終盤、娘は両親への手紙を、
途中、幾度も涙で声を詰まらせながら読み上げた。
「…パパは、私が世界で一番好きな人だよ。
すごく、すごく大切に思っています。……」
世界一の称号を頂いた夫は、
私の隣で、頻繁に鼻をすすっていた。
「…子ども好きなパパに、私が産んだ、
とびきり可愛い孫の姿を見せたいです。
私にしてくれたのと同じように、
たくさん可愛がってほしいです。
だから、絶対に長生きして下さい。……」
夫は視線を落とし、ずっとうつむいたまま、
時折、目頭を押さえていた。
「…パパとママの子で良かった。
今まで、本当にありがとう!!」
読み終えると、娘は顔を上げ、はにかんだ。
涙が光るその笑顔が、いとおしくて……。
私たち夫婦は、宝物を授かったのだと、
今さらながら、子宝のありがたさを感じた。
父親思いの娘のためにも、今度こそ、
夫の回復が本物であるよう、切望している。
夫が、もっともっと、たくさんの良き思い出を、
娘にプレゼントし続けられるよう。。。。。