週末の外泊が始まり、夫が家に帰って来た。
1か月ほど前までは、飲んだくれていた家で、
「しらふ」で過ごすのは、大変なことだと思う。
ここは、病棟ではないので、
その気になれば、酒はいつでも手に入る。
「抗酒剤は処方されなかったの?」
「うん。肝臓の数値が良くないからね。
抗酒剤も、たいして効き目ないよ。
抗酒剤飲みながら酒飲んでいる奴、
いっぱいいるからね」
入院病棟では、患者同士の間で、
いろいろな情報が飛び交っているようだ。
今回の入院で、私が期待していたのは、
飲酒欲求がなくなるという新薬「レグテクト」だ。
ぜひ、夫に飲んでもらいたいと思っていたが……。
夫は、否定的だった。
「新薬なので高いし……。
飲酒欲求が消えるなんて、うさん臭い」
処方してもらう気は、さらさらないようで……。
「うさん臭い」がキーワードになって、
自助グループの不平不満まで、飛び出す始末。
夫は再飲酒組なので、
AAなどの自助グループへ毎週参加するよう、
プログラムに組み込まれていた。
これが、夫にとっては苦痛の種になっている。
病院から自助グループの会場へは、
バスと電車を乗り継いでの大移動なのだ。
病院の門限が決まっていることもあり、
かなり気忙しく、面倒なのだ。
そんな思いを抱えての参加なので、
批判的な目で見ている所があるようだ。
だから、例会で、酒の匂いをまき散らしながら、
体験談を語る男性を許せなかったのだろう。
話の内容も聞くに堪えないことばかりで、
苛立ちしか残らなかったそうだ。
病院からの見学組は皆、憤慨してしまったそうだ。
酔っ払いの話を聞くために来たんじゃない。
こんな例会は、意味がない。
次回からは、参加しないで済むよう、
見学組のメンバーで、ごね方を思案中とか。
あぁ~、まただ。
前回の入院時も、そうだった。
夫には、断酒継続の三本柱が欠けていた。
抗酒剤と自助グループへの参加が……。
抗酒剤を受け付けない身体なのだから、
せめて、自助グループだけでも繋がってほしい。
肌に合わない会もあるだろうが、
夫の居場所が見つかる会も、
きっと、どこかにあるような気がして……。
口を挟みたくなったが、ぐっとこらえた。
まだ、治療の途上だ。
私は、医者じゃない。
私のアドバイスなど、邪魔なだけだ。
夫を不快にさせるだけだ。
不快は、飲酒欲求を誘う。
外泊中の飲酒は、あってはならない。
腫れものに触るように、夫に接してしまった。
きっと、居心地が悪かったのだろう。
早々に、夫は、病院に戻って行った。
1か月ほど前までは、飲んだくれていた家で、
「しらふ」で過ごすのは、大変なことだと思う。
ここは、病棟ではないので、
その気になれば、酒はいつでも手に入る。
「抗酒剤は処方されなかったの?」
「うん。肝臓の数値が良くないからね。
抗酒剤も、たいして効き目ないよ。
抗酒剤飲みながら酒飲んでいる奴、
いっぱいいるからね」
入院病棟では、患者同士の間で、
いろいろな情報が飛び交っているようだ。
今回の入院で、私が期待していたのは、
飲酒欲求がなくなるという新薬「レグテクト」だ。
ぜひ、夫に飲んでもらいたいと思っていたが……。
夫は、否定的だった。
「新薬なので高いし……。
飲酒欲求が消えるなんて、うさん臭い」
処方してもらう気は、さらさらないようで……。
「うさん臭い」がキーワードになって、
自助グループの不平不満まで、飛び出す始末。
夫は再飲酒組なので、
AAなどの自助グループへ毎週参加するよう、
プログラムに組み込まれていた。
これが、夫にとっては苦痛の種になっている。
病院から自助グループの会場へは、
バスと電車を乗り継いでの大移動なのだ。
病院の門限が決まっていることもあり、
かなり気忙しく、面倒なのだ。
そんな思いを抱えての参加なので、
批判的な目で見ている所があるようだ。
だから、例会で、酒の匂いをまき散らしながら、
体験談を語る男性を許せなかったのだろう。
話の内容も聞くに堪えないことばかりで、
苛立ちしか残らなかったそうだ。
病院からの見学組は皆、憤慨してしまったそうだ。
酔っ払いの話を聞くために来たんじゃない。
こんな例会は、意味がない。
次回からは、参加しないで済むよう、
見学組のメンバーで、ごね方を思案中とか。
あぁ~、まただ。
前回の入院時も、そうだった。
夫には、断酒継続の三本柱が欠けていた。
抗酒剤と自助グループへの参加が……。
抗酒剤を受け付けない身体なのだから、
せめて、自助グループだけでも繋がってほしい。
肌に合わない会もあるだろうが、
夫の居場所が見つかる会も、
きっと、どこかにあるような気がして……。
口を挟みたくなったが、ぐっとこらえた。
まだ、治療の途上だ。
私は、医者じゃない。
私のアドバイスなど、邪魔なだけだ。
夫を不快にさせるだけだ。
不快は、飲酒欲求を誘う。
外泊中の飲酒は、あってはならない。
腫れものに触るように、夫に接してしまった。
きっと、居心地が悪かったのだろう。
早々に、夫は、病院に戻って行った。