会社からの貸与だった携帯電話は、
夫の休職で取り上げられてしまった。
プライベートの携帯を持っていない夫は、
公衆電話で、田舎での居所を連絡していたのだが……。
入院予定日を勝手に変更した知らせを最後に、
音信不通になってしまった。
「パパが、いる!!」
娘からの電話で、夫の居場所が判明。
キャンセルした入院予定日の朝、
帰路の新幹線に乗った夫は、自宅を通り越し、
娘の家に向かったのだ。
玄関先で、娘に旅の土産菓子を手渡すと、
「帰るからタクシーを呼んでくれ」と、言ったそうだ。
父親の突然の来訪もさることながら、
ろれつが回らない口調にも、娘は戸惑っていた。
おそらく、新幹線の車内で夫は飲酒三昧だったのだろう。
帰ると言いながらも、自宅に戻るのではなく、
駅前のビジネスホテルに泊まるような口ぶりの父親に、
娘は困り果てていた。
私が待ち構えている自宅の敷居は、
酔っ払った状態の夫には、高すぎるのだろう。
田舎でもホテルを転々として、
こちらに戻ってもホテル暮らしで散財しようとしている。
ただただ呆れるばかり、ほとほと愛想が尽きたが……。
アルコール依存症の身体でさまよい歩けば、
事故のもとだし、世間の迷惑だ。
父親と一緒に電車に乗り、
自宅近くの最寄駅まで付き添うよう、娘に頼んだ。
夫への文句は言うまいと気持ちを切り替えて、
私は、待ち合わせの改札口へ……。
「お帰りなさい」と、精一杯のつくり笑顔で出迎えると、
「ケツが痛くて。痔が出た」と、夫は顔をしかめていた。
まったく、開口一番が、痔の話とは……。
飲み過ぎの結末。 身から出た錆じゃないか!!
苛立ちを覚えたが、こらえた。
酔っ払いの機嫌を損ねてはならない。
私の使命は、夫を自宅へ連れ帰ることだ。
痛くて歩けないのか。
酔いが回って歩けないのか。
ごちゃごちゃになっている夫をタクシーに押し込み、
やっとのことで、自宅にたどり着き……。
やれやれ、これで一安心と思いきや、
長ズボンを脱ぎ捨てた夫の足が大変なことになっていた。
あちこち内出血していて、大きなアザが……。
すり傷もあり、傷口からは血がにじみ出ている。
しかも、足首が見当たらないほど、
両方のすねは、パンパンにふくれていた。
田舎での暴飲暴食の結果を物語っている。
アルコールに翻弄されて、身体は滅茶苦茶だ。
最悪の体調が回復しないまま、
変更した入院予定日の朝になり、
夫は、まさかのドタキャン劇に打って出たのだった。
「具合が悪すぎて動けない。 痔が痛い。
下痢が止まらない。 入院は無理だ。。。。」
夫は、ベッドで伏したまま動こうとしない。
今は無理、体調が落ち着かないと無理の一点張りだ。
病院は、具合の悪い人が行く所なのに……。
どんなタイミングでの入院を望んでいるのか。
まったく、往生際が悪すぎる。
結局、入院を見送った夫は、連続飲酒に拍車がかかり、
さらなる苦痛で八つ当たりのような暴言がエスカレート。
私が側にいる限り、夫の回復は無いように思えて……。
きっと、共倒れになってしまうのだろう。
今が、潮時なのかもしれない。。。。。
距離を置くことで、
見えて来るものがあるような気がする。
夫の休職で取り上げられてしまった。
プライベートの携帯を持っていない夫は、
公衆電話で、田舎での居所を連絡していたのだが……。
入院予定日を勝手に変更した知らせを最後に、
音信不通になってしまった。
「パパが、いる!!」
娘からの電話で、夫の居場所が判明。
キャンセルした入院予定日の朝、
帰路の新幹線に乗った夫は、自宅を通り越し、
娘の家に向かったのだ。
玄関先で、娘に旅の土産菓子を手渡すと、
「帰るからタクシーを呼んでくれ」と、言ったそうだ。
父親の突然の来訪もさることながら、
ろれつが回らない口調にも、娘は戸惑っていた。
おそらく、新幹線の車内で夫は飲酒三昧だったのだろう。
帰ると言いながらも、自宅に戻るのではなく、
駅前のビジネスホテルに泊まるような口ぶりの父親に、
娘は困り果てていた。
私が待ち構えている自宅の敷居は、
酔っ払った状態の夫には、高すぎるのだろう。
田舎でもホテルを転々として、
こちらに戻ってもホテル暮らしで散財しようとしている。
ただただ呆れるばかり、ほとほと愛想が尽きたが……。
アルコール依存症の身体でさまよい歩けば、
事故のもとだし、世間の迷惑だ。
父親と一緒に電車に乗り、
自宅近くの最寄駅まで付き添うよう、娘に頼んだ。
夫への文句は言うまいと気持ちを切り替えて、
私は、待ち合わせの改札口へ……。
「お帰りなさい」と、精一杯のつくり笑顔で出迎えると、
「ケツが痛くて。痔が出た」と、夫は顔をしかめていた。
まったく、開口一番が、痔の話とは……。
飲み過ぎの結末。 身から出た錆じゃないか!!
苛立ちを覚えたが、こらえた。
酔っ払いの機嫌を損ねてはならない。
私の使命は、夫を自宅へ連れ帰ることだ。
痛くて歩けないのか。
酔いが回って歩けないのか。
ごちゃごちゃになっている夫をタクシーに押し込み、
やっとのことで、自宅にたどり着き……。
やれやれ、これで一安心と思いきや、
長ズボンを脱ぎ捨てた夫の足が大変なことになっていた。
あちこち内出血していて、大きなアザが……。
すり傷もあり、傷口からは血がにじみ出ている。
しかも、足首が見当たらないほど、
両方のすねは、パンパンにふくれていた。
田舎での暴飲暴食の結果を物語っている。
アルコールに翻弄されて、身体は滅茶苦茶だ。
最悪の体調が回復しないまま、
変更した入院予定日の朝になり、
夫は、まさかのドタキャン劇に打って出たのだった。
「具合が悪すぎて動けない。 痔が痛い。
下痢が止まらない。 入院は無理だ。。。。」
夫は、ベッドで伏したまま動こうとしない。
今は無理、体調が落ち着かないと無理の一点張りだ。
病院は、具合の悪い人が行く所なのに……。
どんなタイミングでの入院を望んでいるのか。
まったく、往生際が悪すぎる。
結局、入院を見送った夫は、連続飲酒に拍車がかかり、
さらなる苦痛で八つ当たりのような暴言がエスカレート。
私が側にいる限り、夫の回復は無いように思えて……。
きっと、共倒れになってしまうのだろう。
今が、潮時なのかもしれない。。。。。
距離を置くことで、
見えて来るものがあるような気がする。