やはり、打ち所が悪かったのだろうか。
自転車にぶつけられた夫の病院通いが始まった。
当初、目立った外傷は右腕の腫れと変色。
整形外科で間に合うと思っていた。
ところが、頭を打った可能性も出て来て、
脳神経外科を勧められ、受診。
検査の結果、脳に異常は認められなかったが、
右顔面の神経麻痺があったので、耳鼻科へ……。
糖尿病の薬を飲んでいるので、
ステロイドが使いにくいらしく……。
医者に、麻痺は残るような言い方をされたそうで、
ひどく、落ち込んでいた。
鏡を食い入るように見つめながら、
目を見開いたり、瞼を閉じたり、
口を上下左右に動かしたり……。
いろんな顔つきに挑むのだが、
右顔面は無表情のままだった。
あげく、右目の違和感を訴え、眼科の診断も受けた。
事故以来、夫は会社へは行かず、ずっと休んでいる。
治らないかもしれない。。。。。
募る不安を酒で紛らす夫。
深酒は、思考回路を壊すようで、
夫の言動は、日ごとにおかしさを増していった。
そんな自分を、自分自身でも変だと思い始めたようで、
自分が何を仕出かすか分からないと言い出す始末。
記憶力もすっかり低下した様子で、
一日の出来事を何度も私に話すようになった。
自分の記憶に自信がない夫は、自身の喋った内容を、
私に覚えておいてもらいたいからと言っているが……。
「今、俺が話したことを、もう一度、言ってみて!!」
話の途中で、内容の復唱を迫るのだ。
私の記憶力を試すかのようなやり取りが、
深夜になっても、延々と続く。
そして、私の受け答えが話半分で曖昧だったりすると、
物凄い勢いで責めたてるのだ。
私だって、老化の波に乗っているのだ。
最近は、ど忘れも目立って来て、
夫の話をもらさず記憶しておくことは無理だ。
尋問されているような恐怖感で、
半べそをかいているうちに、しらじらと夜が明けて……。
しかも、その間、夫は酒瓶を持参して、
「ずっと前から、隠れて酒を飲んでいた。煙草も……」
と、カミングアウト???
夫の中で何かが吹っ切れて、居直ってしまったのである。
尋問のような深夜の復唱が数日続き、
私の心は追い詰められていた。
もう、勘弁してほしい。夜が怖い。。。。
そんな私の心を見透かしたかのように、夫は言った。
「明日、病院の帰りに、離婚届の用紙をもらって来るから…」
短絡的思考だとは思ったが、
反論する気にもなれなかった。
自転車にぶつけられた夫の病院通いが始まった。
当初、目立った外傷は右腕の腫れと変色。
整形外科で間に合うと思っていた。
ところが、頭を打った可能性も出て来て、
脳神経外科を勧められ、受診。
検査の結果、脳に異常は認められなかったが、
右顔面の神経麻痺があったので、耳鼻科へ……。
糖尿病の薬を飲んでいるので、
ステロイドが使いにくいらしく……。
医者に、麻痺は残るような言い方をされたそうで、
ひどく、落ち込んでいた。
鏡を食い入るように見つめながら、
目を見開いたり、瞼を閉じたり、
口を上下左右に動かしたり……。
いろんな顔つきに挑むのだが、
右顔面は無表情のままだった。
あげく、右目の違和感を訴え、眼科の診断も受けた。
事故以来、夫は会社へは行かず、ずっと休んでいる。
治らないかもしれない。。。。。
募る不安を酒で紛らす夫。
深酒は、思考回路を壊すようで、
夫の言動は、日ごとにおかしさを増していった。
そんな自分を、自分自身でも変だと思い始めたようで、
自分が何を仕出かすか分からないと言い出す始末。
記憶力もすっかり低下した様子で、
一日の出来事を何度も私に話すようになった。
自分の記憶に自信がない夫は、自身の喋った内容を、
私に覚えておいてもらいたいからと言っているが……。
「今、俺が話したことを、もう一度、言ってみて!!」
話の途中で、内容の復唱を迫るのだ。
私の記憶力を試すかのようなやり取りが、
深夜になっても、延々と続く。
そして、私の受け答えが話半分で曖昧だったりすると、
物凄い勢いで責めたてるのだ。
私だって、老化の波に乗っているのだ。
最近は、ど忘れも目立って来て、
夫の話をもらさず記憶しておくことは無理だ。
尋問されているような恐怖感で、
半べそをかいているうちに、しらじらと夜が明けて……。
しかも、その間、夫は酒瓶を持参して、
「ずっと前から、隠れて酒を飲んでいた。煙草も……」
と、カミングアウト???
夫の中で何かが吹っ切れて、居直ってしまったのである。
尋問のような深夜の復唱が数日続き、
私の心は追い詰められていた。
もう、勘弁してほしい。夜が怖い。。。。
そんな私の心を見透かしたかのように、夫は言った。
「明日、病院の帰りに、離婚届の用紙をもらって来るから…」
短絡的思考だとは思ったが、
反論する気にもなれなかった。