とにかく、苛立っていた。
原因は、私だ。
「帰って来ないからね! 外で泊まる!!」
小さなカバンに、2日分ほどの処方箋を投げ入れて、
夫は、家を出て行った。
前の晩のやり取りが思い出される。
「明日、『あじさい祭』に行こうよ」
「遠いし……、長時間の電車は、ちょっと。。。。」
気乗りしない私の返事に、夫は不快感をあらわにした。
「もう、いい!! 一人で行く!!」
私は、人ごみが苦手で、
ここ数年は、電車にも酔うようになってしまった。
電車やバスに揺られて、のんびり気ままな旅!?
そんな気分にはなれないのだ。
その会場には、過去に3回ほど行ったが、
いずれも、夫の車の助手席に座っての移動だった。
自損事故以来、夫はプライベートでの運転を一切しない。
運転の苦手な私が、ハンドルを握ることも有り得ない。
つまり、『あじさい祭』会場へは、
電車やバスを乗り継いで行くしか方法がないのだ。
それが憂鬱で、夫の誘いを躊躇してしまい……。
気まずい空気のまま、朝を迎え、
夫は、有言実行したのである。
連れの私がいなければ、
夫は、昼間から好きなだけ酒が飲めるし、
寝ぼける夫がいなければ、
私は、夜中に起こされずに安眠できる。
夫にも私にも、好都合ではないか。
しばらく、解放感に浸っていたが……。
さすがに、日が落ちて来ると、
出て行ったままの夫の様子が気になり、
携帯にメールすると、返信が……。
「○○山駅前のホテルで、夕食中。
さっき、チャリと衝突した」
自転車とぶつかるって、どういうこと???
酔ってふら付いていたから???
すぐに、酒と結び付けてしまう私がいた。
詰まる所、自転車が夫に突っ込んで来たそうで……。
倒れた夫は、手と顔にすり傷を負い、
お気に入りのサングラスと腕時計にもすり傷が……。
相手の方が修理を申し出て、一件落着したようだ。
夫はホテルに泊まるので、今夜は戻らない。
私は、戸締りを済ませ、寝床に入った。
すると、メールの着信音が……。
夫からだ。具合が悪いのだろうか?
恐る恐る開くと、
「探し物が見つからなくって」の文字が……。
いったい何のことだか、要領を得ない。
「何を探しているの?」の問い掛けに返信はなく……。
おそらく、酔っ払って、寝てしまたのだろう。
「探し物が見つからなくって」???
夫は、自分の生き方を模索しているのだろうか。
でも、アルコール漬けの頭では、無理だ。
家にいても、酒を飲む。
環境を変えて、ひとりになっても酒を飲む。
結果は同じだ。
飲むことから、逃れられなくなっている。
全ては、病気の所為だ。
いい加減、飲んではいけない身体と受け止め、
次に進んで欲しいのだが……。
不器用な生き方しかできない夫が哀れでもあり、
いとおしくもある。
私に出来ることは、静かに見守るだけ。
私には、夫の飲酒を止める力はないのだ。
それにしても、今年の夫は、よく当たるなぁ。
ガードレール、電柱、壁、自転車etc.
この調子だと、
宝くじも当たるのではないかと期待してしまう。
夫が戻ったら、まずは、宝くじ売り場に連れて行こうと、
億万長者を夢見ている。
原因は、私だ。
「帰って来ないからね! 外で泊まる!!」
小さなカバンに、2日分ほどの処方箋を投げ入れて、
夫は、家を出て行った。
前の晩のやり取りが思い出される。
「明日、『あじさい祭』に行こうよ」
「遠いし……、長時間の電車は、ちょっと。。。。」
気乗りしない私の返事に、夫は不快感をあらわにした。
「もう、いい!! 一人で行く!!」
私は、人ごみが苦手で、
ここ数年は、電車にも酔うようになってしまった。
電車やバスに揺られて、のんびり気ままな旅!?
そんな気分にはなれないのだ。
その会場には、過去に3回ほど行ったが、
いずれも、夫の車の助手席に座っての移動だった。
自損事故以来、夫はプライベートでの運転を一切しない。
運転の苦手な私が、ハンドルを握ることも有り得ない。
つまり、『あじさい祭』会場へは、
電車やバスを乗り継いで行くしか方法がないのだ。
それが憂鬱で、夫の誘いを躊躇してしまい……。
気まずい空気のまま、朝を迎え、
夫は、有言実行したのである。
連れの私がいなければ、
夫は、昼間から好きなだけ酒が飲めるし、
寝ぼける夫がいなければ、
私は、夜中に起こされずに安眠できる。
夫にも私にも、好都合ではないか。
しばらく、解放感に浸っていたが……。
さすがに、日が落ちて来ると、
出て行ったままの夫の様子が気になり、
携帯にメールすると、返信が……。
「○○山駅前のホテルで、夕食中。
さっき、チャリと衝突した」
自転車とぶつかるって、どういうこと???
酔ってふら付いていたから???
すぐに、酒と結び付けてしまう私がいた。
詰まる所、自転車が夫に突っ込んで来たそうで……。
倒れた夫は、手と顔にすり傷を負い、
お気に入りのサングラスと腕時計にもすり傷が……。
相手の方が修理を申し出て、一件落着したようだ。
夫はホテルに泊まるので、今夜は戻らない。
私は、戸締りを済ませ、寝床に入った。
すると、メールの着信音が……。
夫からだ。具合が悪いのだろうか?
恐る恐る開くと、
「探し物が見つからなくって」の文字が……。
いったい何のことだか、要領を得ない。
「何を探しているの?」の問い掛けに返信はなく……。
おそらく、酔っ払って、寝てしまたのだろう。
「探し物が見つからなくって」???
夫は、自分の生き方を模索しているのだろうか。
でも、アルコール漬けの頭では、無理だ。
家にいても、酒を飲む。
環境を変えて、ひとりになっても酒を飲む。
結果は同じだ。
飲むことから、逃れられなくなっている。
全ては、病気の所為だ。
いい加減、飲んではいけない身体と受け止め、
次に進んで欲しいのだが……。
不器用な生き方しかできない夫が哀れでもあり、
いとおしくもある。
私に出来ることは、静かに見守るだけ。
私には、夫の飲酒を止める力はないのだ。
それにしても、今年の夫は、よく当たるなぁ。
ガードレール、電柱、壁、自転車etc.
この調子だと、
宝くじも当たるのではないかと期待してしまう。
夫が戻ったら、まずは、宝くじ売り場に連れて行こうと、
億万長者を夢見ている。