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ため息

「死にたくないから、飲まない!!」
いつになったら、そんな境地になってくれるのだろうか。

「死んでもいいから、飲む。。。。」
今の夫は、限りなくマイナス思考のように見える。

夫の考えを夫以外の者が変えることは出来ない。
夫が自ら、気付き、
その手でシフト・レバーを操作しなければ、変わらない。

私に出来ることは、夫の気付きを邪魔しないこと。
夫の感情に巻き込まれないよう、冷静であること。

ところが、いざとなると、
完全に夫のペースにハマってしまい、平静を失う。

ゴールデンウイーク前半が終わり、
いつものように出勤した夫が、昼前に戻って来たのだ。

「足が動かない……」

そう言うと、へたへたと、その場に座り込んで、
感覚のない足をぼこぼこ叩いていた。

「もう、ダメだ。 おしまいだ。 ダメだ。。。。」

泣きじゃくる夫の姿に、私は動揺してしまった。

「とにかく、横になって体を休めようね。
 大丈夫だから……。
 きっと、解決の方法はあるはずだから。
 後で一緒に考えよう……今は、静かに寝ててね」

午後出勤の私は、夫を部屋に残して、
取りあえず、仕事に向かったのだが……。

もちろん、仕事は上の空で、
夫のこれからをいろいろ案じてばかりいた。

身体の不調はアルコールが原因だ。
酒を断たない限り、症状は改善されない。

身体の異変に恐れおののいている今こそチャンスだ。
断酒へと繋げたい。。。。。

勇んで家に帰ると、
夫はベッドに横たわり、頭まで布団を被っていた。

動かないふくらはぎを押すよう頼まれ、
掛け布団をめくり、指圧した。

部屋には、夫の普段着がだらしなく脱ぎ散らしてあった。
どうやら、私の留守中に、酒を調達しに出たようだ。

動かない足で、よく、歩けたものだ。

夫の足をさするのが馬鹿らしくなり、
はぁーっと、小さく息が漏れてしまった。

そのため息が、夫の逆鱗に触れてしまった。

夫は物凄い剣幕で、私のため息をなじった。
平謝りに謝ったが、夫の怒りは治まらなかった。

「出て行け!!」と、怒鳴られ、
私は、すごすごと、夫の部屋を後にした。

それにしても、アルコール依存症者を称して、
『彼らは小さな神のように振る舞う』とは、言い得て妙だ。

神のご機嫌を損ねないよう、
夫の顔色をちらりちらりと窺う私は、まるで召使いだ。

私を部屋から追い出した夫は、さらに酒を煽ったようだ。

留まる所を知らない怒りが、
夫を外へ飲みに行くよう駆り立てるが……。

玄関先で、ドアチェーンの施錠が外せず、
ドアに八つ当たりしている夫は、酔いが回っていて、
もはや、ひとりで歩ける状態ではなかった。

よろけて倒れ掛かって来た夫を受け止め、
引きずりながら、ベッドまで運び、寝かせた。

『アルコール依存症者への
 干渉、コントロール、批判、攻撃をやめましょう。
 監視せずに観察しましょう。
 距離をおいて、冷静になりましょう。』

頭では理解できるのに、
実践となると、もたついてしまう。

そんな私の態度が、夫の回復を遅らせているのだ。

ため息なんかついている暇はないのに……。
気が付けば、ため息の連発だ。

夫と私、回復への道のりは、まだまだ遠い。

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自責の念

小吉さん、初めまして。みかんです。

初コメントです。

最近、ブログ村のメンタルヘルス内から、偶然知って、それから時折、読ませて頂いております。

ご主人さま。

自分の身体の不調が、飲酒によるものから来る?
と解っていらっしゃる? のかな。

もうダメだ。とおっしゃるからには、ご本人は何となく解ってるのだろうなあと、読ませて頂いて感じました。

私も、お酒は好きで、8年近く、ほぼ毎晩、飲んでいました。なので、お酒が好きで、飲む気持ちは良く解ります。

でも、最近。
私もご主人様と同じで、飲むことで、身体に不調が出るようになって、その不調が、かなり辛くなったんですね。

お酒は好きだけど、飲むことによって、我慢が出来ない不調を引き起こす。ことになっているなら、もうお酒はやめよう。

そう思って、今週で4週間かな。全く飲んでいません。それまでの私は、朝、まず起きられません。

なので、娘を起こして、学校へ行かせる事が出来ず。という日が多かったです。
お酒臭い身体で、PTAの集まりに行ったりしたこともあって、今思うと良く、周囲は私に何も言わなかったなあと、思います。

たぶん、小吉さんがおっしゃるように、「飲むこと=生きられない。」と、本人が気がつかないと、お酒を断つ。という事には、繋がらない。

と私も、思いますが、私が心配なのは、小吉さんの事です。
今、そうして旦那さまの世話を焼いている、私がしさかりしなくちゃ。と気丈にしてらっしゃって、しゃんと立っていられてますよね?

だけど、何時、ご主人さまに何かあって、お二人が離れなくてはならなくなった時、心が弱くなり、小吉さんも、二の舞になったりするんじゃないかって。

ブログを読ませて頂いて、ふと心配になっています。

失礼な事、申して大変、申し訳ございません。

タカが外れたら、ふっといっちゃうんじゃないか、って。
どうしようもならないような事態になる前に、ご主人さまには、再び入院して治療に専念して頂いたほうが、小吉さんのご負担が軽減?

するのではないか?と。
何が言いたいのか、自分でも解らなくなってしまいました。が、切羽詰まる前に、どこか逃げ場というか、心の拠り所だけは、持っていて下さいね。

はじめまして

小吉さん、はじめまして。
私には47歳になる弟がいます。
彼は独身一人暮らし。
若い頃からお酒を飲み続け、色々と迷惑をかけられたこともあって、ここ10年は没交渉状態でした。
昨年2月1日に警察から突然電話があり、弟が脳出血で倒れ病院に搬送されたので、すぐ病院へ行ってくれとのことでした。(警察がなぜ私の電話番号を知ったのかは今だに不明です。)
手術を受け、その後リハビリテーション病院へ転院。
一時は要介護5=寝たきりでしたが、リハビリのおかげ(?)で体の方はほとんど障害が残らず回復しましたが、頭の方は完全には回復せず(高次脳機能障害)、現在は要介護2、一人暮らしは難しい状態です。
リハビリの病院へ入院している際、肝臓の数値が悪かったため、精密検査を受けたところ、末期の肝硬変だそうです。
現在は在宅型老人施設に入居していますが、高次脳機能障害によるものなのか、肝硬変でアンモニア値が高すぎるため(400以上)なのかわかりませんが、怒りやすく、他の入居者や職員に向かって暴言を吐いたりするため、施設の方からやんわりと退所の話をされたりしますが、他に行くところがないため、本当に困っています。

長くなりましたが、小吉さんのご主人は、今ならまだ間に合うんじゃないかと思って、コメントさせていただきました。
ご主人のお父様のようになるとは限りません。
去年の2月以降、弟に振り回され、肝硬変でも何でもいいから早くいなくなってほしいと願う気持ちと、誰からも愛されず、47歳と言う若さで老人施設に入居しなければならなかった弟をかわいそうに思う気持ちが、毎日入れ替わっています。

みかん様

私の身を案じて下さる、
みかん様の温かいお心をかみしめております。

思えば、夫の世話を焼くことで、
生かされて来たような半生で……。

そんな私の寄生した生き方が、
夫の回復を遅らせていることに気付いたのですが……。
軌道修正は難しいもので、落ち込むことばかりです。。。

色々、ご心配いただき、ありがとうございます。

みかん様が、お酒との付き合い方を見直されたご様子、
大変うれしく思いました。
どうぞ、ご自愛専一にお過し下さいますよう、祈り上げます。

メイ様

弟様の病状が芳しくないご様子、胸が痛みます。
メイ様のご心痛も如何ばかりかと、お察し申し上げます。

私の夫を案じて下さり、ありがとうございます。
「…今ならまだ間に合う…」
心細い私を奮い立たせてくれました。
本当に、ありがとうございます。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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