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小細工

夜更けの料理人は、不用心だ。
もうろうとした頭で、煮炊きして欲しくないのだが……。

食べたい一心で、よろよろしながら夫は炊事場に立つ。
冷蔵庫は開けたまま、水道の水は出しっぱなし。

騒がしい上に、危険だ。

その夜は、ガスの点火にもたつき、
コンロの操作つまみを何度も回し直していた。

P1060447.jpg

コンロの火が中々つかないはずだ。
夫が回していたのは、グリル用のつまみ。
ふたつ並んでいるので、間違えたようだ。

やっとのことで、コンロの点火にこぎ着け、
インスタントラーメンが出来上がった。

麺の熱さにむせびながらも完食した夫は、
満足したようで、すぐに眠りに就いた。

夫が去った後、流しには洗い物が山積み。
ガステーブルも吹きこぼれで汚れていた。

深夜に、後片付けなんかしたくない。
見て見ぬ振りで、危うく見落とすところだった。

ガステーブルのグリルのつまみが、「開」の位置に……。

慌てて、グリル内を覗くと、青白い炎が揺れていた。

先程の誤ったつまみ操作で、グリルに火がついたのだ。
酔いどれ料理人のいい加減さに呆れ返るばかり。。。。

火の不始末は、火事のもとだ。

酒にまつわる小言は、極力控えてきたが……。
さすがに身の危険を感じたので、後日、事実を伝えた。

元来、疑り深い性質の夫は、私の話を信じようとしない。

「俺は、知らない。 やってない」の一点張り。

ブラックアウトなのかもしれない。
夫に改善を求めても、期待できそうもない。

13年以上も使用している古いガステーブルだ。
壊れてもいいと思った。

グリル用の操作つまみを思い切り引っ張ったら、抜けた。
これで、つまみを間違えて回すことはなくなるだろう。

ガムテープで封印、苦肉の策だ。。。。。。

P1060449.jpg

いったい、私は、何をしているのだろう。
その場しのぎの小細工が、いつまでも通用する訳がない。

強烈な飲酒欲求が病的なものと知りながら、
その治療には消極的で、回復を信じない夫。

病人なら病人らしく、
静かに弱っていってほしいものだ。

私の心に鬼が住んでいる。
心の鬼が、じわじわと大きくなって……。
心に余裕がなくなって、人に優しく出来ない。。。。

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No title.

お察しします。
携帯に動画撮影機能があるなら、夢遊病状態の旦那さんを撮影して、シラフのときに見せてあげればいいのでは?撮影して見せてあげれば認識すると思いますよ。

いつもの小吉さんらしからぬ言葉に
ぎょっとしました。
ブログに吐いてスッキリなさいました
か?ならばよいのですが。
大丈夫ですか?
不謹慎かもですが、やっぱり
私はご主人様より
小吉さんが心配なのです。。。

匿名 様

携帯は、ほとんど利用してないので、
操作の仕方から学習してみます。

動画撮影は、注意喚起に役立ちそうです。
ありがとうございます。

ハニハニ様

夫の奇行に触れるたびに、
夫の存在を消したくなっている自分に気付かされます。

ブログに書くことで、
逃げ場のない心を落ち着かせているのかもしれません。

ご心配いただき、本当にありがとうございます。

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No title.

何らかの手段で証拠を示せども、更に理不尽な怒りで帰ってくることが考えられます。
仕事で抜き刺しならぬ立場でしょうか。
私の場合は渡りに船で、早期退職制度が発足した時期でそれに乗っかりました。
相手が弱るのを待つという戦略もありますが、その期間が長いですね。

なんの参考にもなりませんが。

初めまして。
私も現役アル中で、先月三度目のアル中専門病院から退院した者です。入院中もブログ閲覧させて頂いてました。
自分も酒害者で家族に散々迷惑をかけてきましたが、小吉さんのご苦労、心労は計り知れないものと思います。
よく、本人が底つき体験をして自分から医療若しくは自助グループに繋がらなければ回復は無いと聞きますが、最近薬物依存性の専門治療を行っている方の講演を聞かせて頂いた時、必ずしも本人の底つきを待つべきものでは無い、という主旨のお話をされていました。
私自身、任意入院の形でしたが、自分の意思で入院したというより、辛抱強く私の底つきを待っていた家族がしびれを切らして、やむなく再々入院しました。
入院により徐々に身体は回復していきましたが、記憶力や思考力、判断力の著しい低下はなかなか回復せず、「底つきする前に底をつき抜けて、取り返しのつかない状態(いわゆる廃人状態)まで来てしまったのではないか?」と、ずっと不安と後悔の日々を送っていました。今も不安は消えませんが、一口でも飲んでしまうと現在より悪い状態になるしかないと自覚しており、正面から病気と向き合い、断酒のための三本柱である通院・抗酒剤・自助グループへの参加の実践に取り組んでいます。アル中は飲んで死ぬか止めて生きるかの二択しかありませんから。
もちろん入院しても全く変化無く、再飲酒されてる方も沢山おります。
ご主人がどちらに転ぶか分かりませんが、小吉さん自身のためにも(少なくとも入院中はゆっくり眠れるかと思います。)、ご主人の気付きを待つ前に何らかのアクションを起こす事も選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか?
初めてのコメントなのに、差し出がましいコメントで気分を害されたら失礼しましたm(_ _)m
小吉さんとご家族に平穏な日々が訪れますように。

内緒様

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

とっぷりと、共依存の関係。
「駄目な夫を支える駄目な私」になっております。。。。

お気に留めて下さり、本当に、ありがとうございます。

yamadagaga 様

確かに、動かぬ証拠は、
神経を逆なでしてしまう可能性が大きいかもしれませんね。

yamadagaga 様のお考えや体験は、大変、参考になります。
お心遣い、いつも、ありがとうございます。

レットン 様

回復の道を歩いていらっしゃるご様子、
うれしく思います。
「三度目のアル中専門病院から退院」との事で、
本気度が伝わります。

もしかしたら、私の夫も、病気を自覚して、
回復へと歩き出すかもしれない。
そんな気持ちになりました。

「ご主人の気付きを待つ前に
 何らかのアクションを起こす事も選択肢の一つ」

待つことは、何もしないことではないのですものね。

レットン様のお言葉に励まされます。
ありがとうございます。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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