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花嫁の父、再び

若いふたりは、式場選びを進めているようだ。

披露宴用の料理の試食会があったり、
簡単な衣装合わせがあったりして……。

式場の方も、カップル獲得に余念がない。

着せ替えさせられた娘が、写メを送って来た。
娘の結婚式が現実味を帯びて来た。

花嫁~2

そこで、思い出してしまった。

2007年6月、
夫の姉の娘、つまり、姪っ子の披露宴での
夫の立ち振る舞いを……。

当時、夫46歳、
アルコールの摂取量が、うなぎ上りに増えていった時期だ。

夫は、お祝いのスピーチを頼まれていた。
可愛い姪のためにと、小道具も用意して、
自宅での予行練習は万全だった。

出番を待つ間、緊張をほぐすためか、
ウイスキーを何杯もおかわりしていた。

酔い潰れたら、どうしよう。

私のハラハラ感がマックスになった頃、
やっと、御指名が来た。

夫は、マイクスタンドの所にたどり着くまでに、
2回ほど、けつまずいたが、持ちこたえた。

暗記したはずのスピーチは飛んで、80%に縮小したが、
パフォーマンスで会場を沸かせ、叔父の存在を印象付けた。

何とか無事に話し終えた安堵感からか、
またまた、夫の飲むスピードが速くなった。

姪っ子の父親は、式場に来ていない。
2年前、若くして急病で逝ってしまった。

祝いの席で、夫は、姪っ子の父親代わりと化した。

新郎側の親戚たちに、
頭を下げ、固く握手し、酌を取る。

足元がふらつき出した夫の肘をつかんで支えながら、
私もいっしょに、会場内を回った。

「花嫁の父」は、涙が止まらない。
鼻水をかんだハンカチで、涙を拭いて、
また、鼻水をかむ繰り返し。

酔っ払い。 憎めない、酔っ払い。

会場で撮った集合写真には、
新婦の横で、泣き笑いしている夫がいる。

姪っ子にして、号泣なのだから、
実の娘に至っては、どうなってしまうのだろう。

本物の「花嫁の父」としての出番は近い。

祝杯を飲まずにいられる訳がない。

夫の断酒が、
またまた、遠のく口実が出来てしまった。

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非公開コメント

きれいですね

娘さん本当にきれいですね

花嫁の父のだんなさんは寄ってなくても

涙が止まらないと思いますよ

まきづめ様

ありがとうございます。

硬派で鳴らした夫ですが、
最近は涙腺が弱くなって……。
きっと、夫は号泣すると思います。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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