酒が入っていることは、一目で分かる。
寡黙な夫が、饒舌になるからだ。
同じことを何度も繰り返し話すこともある。
そのくどさにはうんざりで、
私は、話を切り上げるタイミングばかり探っていた。
そんな私の顔は、暗く険しかったに違いない。
酔っ払いにも、不快感は伝わるのだろう。
夫は、そそくさと自室に引き返し、
飲み足している様子だった。
仏頂面の私が相手では、話も弾まず、つまらない。
気分が悪くなる。 だから、飲み直す。
そのあげく、深夜に、時計の針を見まちがえ、
覚束ない足取りで、外へ出て行ったり、
危なっかしい手付きで、食事作りを始めたりと、
危険極まりないのだ。

昨夜は、にこやかに相槌を打ちながら、
夫のお喋りに付き合ってみた。
相変わらず、話の重複はあったが、
ふたりでお茶を飲みながら、穏やかな一時を過ごした。
そして、夫は、静かに眠りに就いた。
中途覚醒して、徘徊することもなく……。
おかげで、私も朝までぐっすり眠れた。
夜は寝るという、
当たり前の過ごし方が出来ることが、うれしい。
こんな夜がずっと続いて欲しいものだ。
夫の話にちゃんと耳を傾けたのが、良かったのかもしれない。
深酒の手前で留まって、奇行が抑えられているようだ。
これからは、面倒がらずに酔っ払いの戯言に付き合おう。
それで、安眠できれば、儲けものだ。
根本の解決には全然ならないが……。
妥協点を見つけて、
もたれ合いながら生きている。
寡黙な夫が、饒舌になるからだ。
同じことを何度も繰り返し話すこともある。
そのくどさにはうんざりで、
私は、話を切り上げるタイミングばかり探っていた。
そんな私の顔は、暗く険しかったに違いない。
酔っ払いにも、不快感は伝わるのだろう。
夫は、そそくさと自室に引き返し、
飲み足している様子だった。
仏頂面の私が相手では、話も弾まず、つまらない。
気分が悪くなる。 だから、飲み直す。
そのあげく、深夜に、時計の針を見まちがえ、
覚束ない足取りで、外へ出て行ったり、
危なっかしい手付きで、食事作りを始めたりと、
危険極まりないのだ。

昨夜は、にこやかに相槌を打ちながら、
夫のお喋りに付き合ってみた。
相変わらず、話の重複はあったが、
ふたりでお茶を飲みながら、穏やかな一時を過ごした。
そして、夫は、静かに眠りに就いた。
中途覚醒して、徘徊することもなく……。
おかげで、私も朝までぐっすり眠れた。
夜は寝るという、
当たり前の過ごし方が出来ることが、うれしい。
こんな夜がずっと続いて欲しいものだ。
夫の話にちゃんと耳を傾けたのが、良かったのかもしれない。
深酒の手前で留まって、奇行が抑えられているようだ。
これからは、面倒がらずに酔っ払いの戯言に付き合おう。
それで、安眠できれば、儲けものだ。
根本の解決には全然ならないが……。
妥協点を見つけて、
もたれ合いながら生きている。