自損事故は、思わぬ方向へ行きつつある。
胸骨骨折で自宅療養中の夫が、少し出歩けるようになり、
レッカー移動された車の保管先である自動車修理工場へ、
車内の荷物を引き取りに行ったのだが……。
車の壊れ方を目の当たりにして、
自損事故に疑念を抱くようになったのだ。
左前部がぐちゃぐちゃのエルグランドと対面し、
呆然としている夫に、
修理工場の人は、車の後部を指摘して、
「追突されたのですか?」と尋ねて来たそうだ。
事故時、夫は意識を失っていたので、
何も思い出せないのだ。
でも、後部のへこみ方はどう見ても、
追突の跡のような壊れ方だったそうだ。
加入している保険屋も慎重になっているらしい。
事故時の記憶がないので、
ガードレールの端に突っ込んだ車の状況から、
運転ミスによる単独事故として処理されたのだが……。
「飲酒運転で事故ったと、会社の連中は疑っているんだ。
深夜の事故は酒絡みが多いと、保険屋も疑っている。
あの日、俺は飲んでいなかったのに……。
みんな、俺の飲酒を疑っている。
事故の記憶が全くないので、自損事故と思っていたが、
車の壊れ方を見ると、当て逃げされた可能性がある」
夫は「飲んでいない」と主張するが、
病気が病気だけに、信憑性に乏しい。
申し訳ないが、
私も、飲酒運転かな?と勘ぐっていた。
運転する直前は、飲んでいないかもしれないが、
もっとずっと前に飲んでいたかもしれない。
アルコールの分解には思いのほか、時間がかかるのだ。
体内に残るアルコールの影響を甘く見ると、危険だ。
酒に強い夫が、「酔っていない」と自分で判断しても、
実際は、酒が抜け切れていない状態ということは有りうる。
夫は、「疑いを晴らす」と言い出し、
警察に電話して、通報者の連絡先を聞き出そうとしたり、
事故現場を見に行ったりと、ムキになっている。
酒を止めた方がいいのに、止められないでいることを
夫は、負い目に感じているのだと思う。
だから、酒の上での不始末ではない。
「酒は無関係なんだ」と証明したいようだが、
私には、徒労のように思えてならない。
夫には、酒害の自覚こそが急務なのだ。
胸の痛みが落ち着いて来たようで、
最近は、夜中の徘徊も夜食作りも復活している。
深夜、ふらふらと起き出して来た夫は、
薄明りの中で、パジャマのズボンを脱ぎ捨てた。
タンスの引き出しから、別のパジャマを引っ張り出し、
それに着替えようとしていたが……。
ズボンが上手くはけずに、転がっていた。
引っ繰り返ったままで、バタバタ騒がしかったが、
ようやく、足先が出て……。
夫は寝転んだ状態で、ズボンをずり上げていたが、
ズボンは脚の途中で止まり、お腹もお尻も隠れない。
力尽きた夫は、その場で寝てしまった。
夫がズボンと思っていたのは、
トレーナー型のパジャマの上着の方だった。
器用にも、上着の袖に足を通して、高イビキ。
その姿は、何とも滑稽で吹き出してしまった。

酔っ払っているのか、寝ぼけているのか。
半ば、呆れながら、
そっと、布団を掛けたのだが……。
袖に収まるほど、足が細すぎることに、
はっとして、笑えなくなってしまった。
食べているのに、痩せていく。
栄養を受け付けない体だ。
アルコールの糖分が唯一の栄養源なのだろう。
アルコールが夫の身体を蝕んでいく。。。。。
怪我と病気、
どこまで身体を傷めつけたら、気が済むのだろう。
胸骨骨折で自宅療養中の夫が、少し出歩けるようになり、
レッカー移動された車の保管先である自動車修理工場へ、
車内の荷物を引き取りに行ったのだが……。
車の壊れ方を目の当たりにして、
自損事故に疑念を抱くようになったのだ。
左前部がぐちゃぐちゃのエルグランドと対面し、
呆然としている夫に、
修理工場の人は、車の後部を指摘して、
「追突されたのですか?」と尋ねて来たそうだ。
事故時、夫は意識を失っていたので、
何も思い出せないのだ。
でも、後部のへこみ方はどう見ても、
追突の跡のような壊れ方だったそうだ。
加入している保険屋も慎重になっているらしい。
事故時の記憶がないので、
ガードレールの端に突っ込んだ車の状況から、
運転ミスによる単独事故として処理されたのだが……。
「飲酒運転で事故ったと、会社の連中は疑っているんだ。
深夜の事故は酒絡みが多いと、保険屋も疑っている。
あの日、俺は飲んでいなかったのに……。
みんな、俺の飲酒を疑っている。
事故の記憶が全くないので、自損事故と思っていたが、
車の壊れ方を見ると、当て逃げされた可能性がある」
夫は「飲んでいない」と主張するが、
病気が病気だけに、信憑性に乏しい。
申し訳ないが、
私も、飲酒運転かな?と勘ぐっていた。
運転する直前は、飲んでいないかもしれないが、
もっとずっと前に飲んでいたかもしれない。
アルコールの分解には思いのほか、時間がかかるのだ。
体内に残るアルコールの影響を甘く見ると、危険だ。
酒に強い夫が、「酔っていない」と自分で判断しても、
実際は、酒が抜け切れていない状態ということは有りうる。
夫は、「疑いを晴らす」と言い出し、
警察に電話して、通報者の連絡先を聞き出そうとしたり、
事故現場を見に行ったりと、ムキになっている。
酒を止めた方がいいのに、止められないでいることを
夫は、負い目に感じているのだと思う。
だから、酒の上での不始末ではない。
「酒は無関係なんだ」と証明したいようだが、
私には、徒労のように思えてならない。
夫には、酒害の自覚こそが急務なのだ。
胸の痛みが落ち着いて来たようで、
最近は、夜中の徘徊も夜食作りも復活している。
深夜、ふらふらと起き出して来た夫は、
薄明りの中で、パジャマのズボンを脱ぎ捨てた。
タンスの引き出しから、別のパジャマを引っ張り出し、
それに着替えようとしていたが……。
ズボンが上手くはけずに、転がっていた。
引っ繰り返ったままで、バタバタ騒がしかったが、
ようやく、足先が出て……。
夫は寝転んだ状態で、ズボンをずり上げていたが、
ズボンは脚の途中で止まり、お腹もお尻も隠れない。
力尽きた夫は、その場で寝てしまった。
夫がズボンと思っていたのは、
トレーナー型のパジャマの上着の方だった。
器用にも、上着の袖に足を通して、高イビキ。
その姿は、何とも滑稽で吹き出してしまった。

酔っ払っているのか、寝ぼけているのか。
半ば、呆れながら、
そっと、布団を掛けたのだが……。
袖に収まるほど、足が細すぎることに、
はっとして、笑えなくなってしまった。
食べているのに、痩せていく。
栄養を受け付けない体だ。
アルコールの糖分が唯一の栄養源なのだろう。
アルコールが夫の身体を蝕んでいく。。。。。
怪我と病気、
どこまで身体を傷めつけたら、気が済むのだろう。