「仕事が終わったら、行ってもいい?」
午後3時過ぎ、離れて暮らす娘から電話があった。
同居中の彼氏さんが用事で不在の夜、
娘は実家に泊まりに来て、入り用なものを物色。
欲しいものが見当たらないと、
私の財布をあてにして、
調達し持ち帰るのが常だっだ。
だから、その日も、いつものように、
「気を付けて、帰っておいで」と、返事をした。
娘には、夫の怪我を伝えていない。
命に別状がないので、
取り立てて騒ぎ立てることもない。
娘に余計な心配を掛けたくなかったので、
何かのついでに事後報告でいいと思っていた。
娘が来るので、ちょうど良い機会だ。
娘の顔を見れば、夫の痛みも少しは和らぐだろう。
ベットで寝ている夫に、娘が来ることを伝えたが……。
「ふぅ~ん。。。。」と、いつになく素っ気なかった。
娘も加わる夕食のメニューを考えながら、
私は、浮足立っていた。
すると、夫が起きて、自室から出て来た。
やはり、娘に会えるのが嬉しいのだろう。
そんな風に思っていた私は、
夫の予期せぬ言葉に、戸惑ってしまった。
「今日は、来なくていいから。
断りの電話を入れといて」
「え? え? 何で???」
娘が泊まりに来るのを拒む理由が、
すぐには分からなかった。
「二人で来るのなら、話を聞くつもりだが……。
あいつ(娘)だけ来ても、らちが明かない。
俺が聞きたいのは、相手の男が何を話すかだ。
だから、今日は、帰って来なくていい」
あぁ、思い当たる。
2月中旬、娘からの長電話があり、
その内容を夫に伝えたのが、まずかったのだ。
某試験の勉強に専念したいので、
3月いっぱいで仕事を辞める。
出来れば、家にいる間に子どもを作りたい。
だから、取りあえず、入籍して扶養家族になって……。
2年後、子どもを保育園に預けて再就職する等々。
そんな話を聞かされて、
娘の将来設計の見通しの甘さが不安になって……。
ぽろりと、夫に告げ口してしまったのだ。
「俺は、何も聞いていない」
「電話口で、あの子の思い付きで
喋っただけかもしれないから……。
二人の話し合いで、結論が出たら、
きちんと、パパに報告があると思うけど」
夫が、至極、不機嫌になったので、
あの時、私は慌てて話を切り上げてしまったが……。
夫は、ずっと、気にかけていたようだ。
相手の男が、娘をどう思っているのか。
娘の一人芝居、空回りじゃないのか。
若い二人のこれからのことを、
夫は娘の口を通してではなく、
相手から、直接聞きたがっていた。
病気には、背を向けて、
日々、飲んだくれているくせに……。
酒の問題を過少評価して、
自分の生き様は投げ遣りなくせに……。
娘のことに関しては、
ものごとのけじめをつけたがり、こだわる夫。
そして、誰よりも娘の幸せを願っている夫。
私は、そっと、断りのメールを娘に送った。
実は、娘が早く子どもを産みたいと思ったのは、
子煩悩な父親に初孫を抱かせたいからなのだ。
病気が再発した父親に、残された時間は多くない。
初孫との出会いが、
良い方向へのきっかけになるかもしれない。
娘の賭けなのだ。
娘は、父親の長生きを誰よりも願っている。。。。。
家族は皆、夫の回復を祈っているのに、
病気の渦中の夫には、なかなか伝わらない。。。。。。
午後3時過ぎ、離れて暮らす娘から電話があった。
同居中の彼氏さんが用事で不在の夜、
娘は実家に泊まりに来て、入り用なものを物色。
欲しいものが見当たらないと、
私の財布をあてにして、
調達し持ち帰るのが常だっだ。
だから、その日も、いつものように、
「気を付けて、帰っておいで」と、返事をした。
娘には、夫の怪我を伝えていない。
命に別状がないので、
取り立てて騒ぎ立てることもない。
娘に余計な心配を掛けたくなかったので、
何かのついでに事後報告でいいと思っていた。
娘が来るので、ちょうど良い機会だ。
娘の顔を見れば、夫の痛みも少しは和らぐだろう。
ベットで寝ている夫に、娘が来ることを伝えたが……。
「ふぅ~ん。。。。」と、いつになく素っ気なかった。
娘も加わる夕食のメニューを考えながら、
私は、浮足立っていた。
すると、夫が起きて、自室から出て来た。
やはり、娘に会えるのが嬉しいのだろう。
そんな風に思っていた私は、
夫の予期せぬ言葉に、戸惑ってしまった。
「今日は、来なくていいから。
断りの電話を入れといて」
「え? え? 何で???」
娘が泊まりに来るのを拒む理由が、
すぐには分からなかった。
「二人で来るのなら、話を聞くつもりだが……。
あいつ(娘)だけ来ても、らちが明かない。
俺が聞きたいのは、相手の男が何を話すかだ。
だから、今日は、帰って来なくていい」
あぁ、思い当たる。
2月中旬、娘からの長電話があり、
その内容を夫に伝えたのが、まずかったのだ。
某試験の勉強に専念したいので、
3月いっぱいで仕事を辞める。
出来れば、家にいる間に子どもを作りたい。
だから、取りあえず、入籍して扶養家族になって……。
2年後、子どもを保育園に預けて再就職する等々。
そんな話を聞かされて、
娘の将来設計の見通しの甘さが不安になって……。
ぽろりと、夫に告げ口してしまったのだ。
「俺は、何も聞いていない」
「電話口で、あの子の思い付きで
喋っただけかもしれないから……。
二人の話し合いで、結論が出たら、
きちんと、パパに報告があると思うけど」
夫が、至極、不機嫌になったので、
あの時、私は慌てて話を切り上げてしまったが……。
夫は、ずっと、気にかけていたようだ。
相手の男が、娘をどう思っているのか。
娘の一人芝居、空回りじゃないのか。
若い二人のこれからのことを、
夫は娘の口を通してではなく、
相手から、直接聞きたがっていた。
病気には、背を向けて、
日々、飲んだくれているくせに……。
酒の問題を過少評価して、
自分の生き様は投げ遣りなくせに……。
娘のことに関しては、
ものごとのけじめをつけたがり、こだわる夫。
そして、誰よりも娘の幸せを願っている夫。
私は、そっと、断りのメールを娘に送った。
実は、娘が早く子どもを産みたいと思ったのは、
子煩悩な父親に初孫を抱かせたいからなのだ。
病気が再発した父親に、残された時間は多くない。
初孫との出会いが、
良い方向へのきっかけになるかもしれない。
娘の賭けなのだ。
娘は、父親の長生きを誰よりも願っている。。。。。
家族は皆、夫の回復を祈っているのに、
病気の渦中の夫には、なかなか伝わらない。。。。。。