５年

「５年経って、やっと気持ちが楽になった」

夫に先立たれた職場の先輩が、言っていた。
悲しみも苦しみも、時間が解決してくれるらしい。

夫の死後、気がふさぎがちだった私は、
先輩の経験「５年」を拠り所に生きてきた。

そして、この春、夫の突然の死から５年になった。

夢枕に立つ夫は、相変わらず酔っ払っている。
私は夫の顔色を伺い、右往左往の大騒ぎ。
「もう勘弁してよ」で、目が覚める。

そして、重い溜息とともに、夫を偲ぶ。

結婚生活後半の１０年、アルコール依存症発症で激変した
夫の立ち振る舞いが余りにも強烈すぎた。

穏やかだった頃の夫に会いたいのに……。
この先もずっと、酔いどれ夫にしか会えないのだろうか。

夢の中でも、アルコール依存症は治っていない。。。