酒豪の果て

呑兵衛夫婦の迷走人生を気まぐれに更新中。見解に偏りあり(!?)の読み流し物件。

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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?の
猫舌の呑助です。。。。。

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マリッジ・リング

日中の夫は、依存症回復施設に顔を出していた。
その際は、地下鉄を利用していた。
吊革につかまって立っていると、
眼下の座席に座っていた若い女性から、
いぶかしげな顔付きで何度も見られたそうだ。

「俺、変なおじさんに見えるのかなぁ」

とても、気にしていた。

「じろじろなんて、気のせいじゃないの。
 パパは、普通のおじさんだよ」

私は軽く受け流したが、
夫は割り切れないようで……。

「結婚指輪、まだあるかなぁ?
 独り者の変人に見られないよう、
 既婚の印の指輪、はめておきたいんだ」

私も夫も皮膚が弱く、指輪を付けていると、
その部分が痒くなってしまい……。
結婚早々で、二人とも指輪を外してしまった。

IMG_0462.jpg

30数年ぶりに、マリッジ・リングが
夫の左手の薬指に納まった。
夫は、どんな思いで指輪を眺めていたのだろう。

今はもう、聞くすべがない。。。。。。

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我を通す

人生後半戦、夫は多くの病気を抱えていた。
アルコール依存症、糖尿病、肝硬変、
食道癌、うつ病、皮膚癌……。
どの病で、命を落としてもおかしくない状況。
遠くない将来、別れが来るであろうことは、
私なりに覚悟していたつもりだった。

しかし、予想を上回る速さで現実に直面し、
覚悟なんて、ぶっ飛んでしまった。
涙がはらはらと落ちて来て、
後はただおろおろするばかり。。。。

夫は外で倒れていたらしい。
通行人が発見し、すぐに救急通報。
病院へ搬送され、救命措置が施されたが、
私や子ども達が病院に駆け付けた時には、
もう帰らぬ人になっていた。

我を通し、夫は57年の生涯を閉じた。

眠っているような穏やかで優しい顔は、
往年の美男子だった。
眠れないことを恐れていた夫は、
永遠の眠りを手に入れた。

私は生まれて初めて、死者の写真を撮った。
夫の生きた証しの姿を残しておきたかった。

病気に飲み込まれたまま、逝ってしまった夫。
結局、私は何の助けにもなれなかった。。。。。。
切なすぎる結末が心を責め立てて来る。

そんな私を案じて、娘がメールをくれた。

「パパは幸せじゃなかったのかもって、
 ママは言ってたけど……。

 アタシは、パパは幸せだったって信じてる。
 病気と闘うのは辛くて苦しかったと思うけど、
 ママがいて、お兄ちゃんがいて、アタシがいて、
 ○○が産まれて、それから○○も産まれて、

 アタシは、パパの病気のこと勉強してないから
 イメージでしかないけど、
 アルコール依存症になると、
 家族がバラバラになって離れてしまう印象がある。

 でも、パパからは誰も離れなかったよ。
 孫の○○と○○を足したら、むしろ増えてる!
 きっと、しあわせだったよ。
 辛かっただろうけど、幸せもいっぱいあったよ。
 パパの最期、良い顔してるもん。
 短すぎるけど、良い人生だったって思いたい」

娘は、父の死という大きな悲しみを
懸命に受け止めていた。
娘の思いが有り難く心に沁み渡る。

早く立ち直ることが何よりの供養と言い聞かせて、
折れそうな心を持ちこたえている。

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