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見物人

なかなか、回復の波に乗れない夫。

どうして、あの人に出来ることが、
私の夫には出来ないのだろう。

家族会などで体験談を聞いていると、
ひと様の回復過程と比べてしまい、
夫を叱咤激励したくなる気持ちがくすぶる。

努力が足りない!!
やる気があるのか!!
酒に飲まれたままじゃないか!!
いい加減、目を覚ませよ!!

もちろん、当人に向かって発してはいけないのは、
学習済みなので、心の中での独り言。。。。。

最近、独り言が増えている。

いつまで飲む?
死ぬまで飲む???

夫は、たくさん飲んで、たくさん寝ている。
夜は紙パンツをはいているのに、
尿の垂れ流しで寝具や下着を汚す。
アルコールで脳がいかれてしまったのだろうか。
漏らすことが日常になっている。

壊れてしまった夫の番人で居続けることが
無性に怖くなり、逃げ出したくなる。

でも、そんな時は「待て待て」と、
もう一人の自分が呼び掛けて来るのだ。

どんなに変わり果てても、
もとは、自分が選んだ人。

厄介な病気を発症してしまったが、
大切な家族に変わりはない。

ひと様と比べるのではなく、
この病気発症後の夫の変化を見比べて、
その変化を受け入れよう。

3~4年前の拷問のような暴言はなくなった。
真夜中、酒を求めて、
こそこそと外出することもなくなった。

夫の不在を心配することなく、
夜は眠るという普通の暮らしが出来ている。

ベッドから落ちる騒音は、ベッドの足を排除して
低くすることでかなり縮小した。

尿漏れで、洗濯は増えたが……。
病人を不衛生な状態にしてはいけないと思うし、
何よりアンモニア臭が私には不快で我慢できないので、
洗濯機をフル回転させている。

何度も入院したが、断酒に繋がらなかったことで、
「自分には断酒は無理」と、降参してしまったような夫。

諦めてしまった人を
どうやって、やる気にさせればいいのだろう。

「今は断酒出来なくてもいいよ。
 いつか出来るといいね。
 死んでしまったら、回復はなくなる。
 生きていればこそ。
 生きていることが、大事なんだよ

実際口にすると、何とも説得力のない
薄っぺらな言葉と化してしまい……。

私は何も出来ない。
ただの見物人に過ぎない。。。。。

ハンドメード

気力も体力もない夫の日々の暮らしは、
飲むことしか出来ていない。
だらだらと惰性の中で生きている。

抜け殻のような夫を見ていると、
やはり、やるせない気持ちが渦巻いてしまう。

そんな私の思いは、どこ吹く風。。。。

夫は、酒を飲むことしか頭にない。
にもかかわらず、内科病院に通院し、
アルコール依存症治療の専門病院にも、
4週間毎に顔を出している。

病気を治すのではなく、
病気全開のままで、夫は生き延びている。

ある意味、夫は幸せなのかもしれない。

このまま飲み続けて、
ある日、突然お迎えが来て、お仕舞い!?
夫の父親がそうであったように、
自身もそうなることを密かに望んでいるようだ。

と、なると、父親は70歳で亡くなったので、
現在56歳の夫には余命約14年!?

案外、夫は長生きの相なのかも知れない。

年々老いていく私の身体、
その経年劣化ははっきりと自覚出来るほど。
夫の身体より、自分の健康が心配になって来た。

私はもっと楽をしよう。
自分を労わろう。

もう、アルコール依存症のことばかり、
思い煩うのはやめよう。

私が心配してもしなくても、夫は酒を手放さない。
ならば、どうぞ、ご自由に。

夫の行動に過敏に反応しないよう、
巻き込まれないよう、努めて心の距離を置く。

自分が楽しくなることをすることで、
しばしの間、夫の存在を消す。

ボケ防止も兼ねて、趣味の洋裁に没頭している。

056.jpg

初孫は2歳になった。
彼に着せたい服を自己流で製作。

幼少期の息子や娘に、
せっせと手作り服を着せていた頃が
なつかしく思い出されて……。

今、老眼鏡を頼りに、
孫の服を作れる幸せを噛みしめている。

プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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