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準備期間

2013年の夏、
夫はアルコール依存症治療のため、
2回目の入院をした。

今度こそと回復を期待したが、
退院後、夫はいとも簡単に再飲酒。
深酒の影響で、奇怪な言動を繰り返した。

壊れた夫との暮らしは限界に来ていたが、
この病気のことを学んでいくうちに、
私の頭にひとつのキーワードが浮かんだ。

『石に上にも3年』

夫の動向を3年見よう。
良い兆しがなかったら、縁を切ろう。

その間、夫は、
肝硬変、糖尿病の進行、
食道癌が見つかり、うつ状態、自殺未遂。。。。

次から次へと、
難問を提供してくれる夫を突き放すことが出来ず、
私は家政婦兼介護士(?)のような立ち位置に……。

飲み続けている夫は、もっと壊れていくだろう。
想像するだけで恐ろしく、逃げ出したくなる。

このまま、夫のお世話係りで、
私の人生は終わってしまうのか。。。。。

夫の病気が猛威を振るい、
私の元気を吸い取っていく中で、
かろうじて、生きて来れたのは、
娘の結婚、そして、初孫の誕生のお陰だ。

夫がいたから、可愛い娘を授かることが出来、
ふたりで一生懸命育てて来て、今がある。
娘が産んだ可愛い孫を抱きながら、
自分たちの子育ての頃にタイムスリップ。
同じ思い出を語れることに幸せを感じて……。
夫への感謝の気持ちがじんわりと込み上げて……。

きっといつか、私の夫は酒を断ち、新しい生き方をする。
今はまだ、そのための準備期間なのかもしれない。

そうやって、気持ちを落ち着かせ、
区切りの3年目を迎えた昨夏、
酒にやられっぱなしの夫が入院治療を望み、
自ら入院先を決めて来たのだ。

病気をなんとか治めたい。
夫がそう考えているのなら、
家族としては応援するしかない。

そして、コマは振り出しに戻された。

『石の上にも3年』

腐れ縁だと自分に言い訳して、
私は3年後を見据えて、再度カウントダウンを始めた。

昨年10月上旬、退院した夫は、
程なく、酒に手を出した。

「どうしても、酒はやめられない。
 飲み過ぎないようにするから」と、
隠れ飲酒を穏やかな口調でカミングアウトした。

深酒で失禁したり、転んでケガしたりは時々あるが、
以前のような、恐ろしい暴言や奇行は消えた。
歩みはのろいが、
良い方向に行っていると思うようにしている。

『アルコール依存症者が断酒することは奇跡。
 再飲酒も回復過程ではやむを得ない』

そんな一文を思い出し、
夫の動向を遠巻きに観察している。

冥土の土産話に、
奇跡を見てみたいと強く思う私がいる。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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