天使

失業中の夫には、小遣いを渡していない。

「煙草を買いに行く」と言う夫に、
一日おきに5百円玉を一枚渡している。

「煙草」は「酒」に化けることもあるだろう。
疑い出したらきりがない。

ワンコイン、高が知れている。
酒を優先すれば、煙草は買えない。
節酒の道を模索する愛煙家には、丁度いい金額だ。

ところが、そのバランスが崩れた。

夫の誕生日から数日経った日、私の留守中、
別居の息子が訪れて、夫にプレゼントを渡したのだ。

「ママと一緒に旅行にでも行ってね」

再就職したばかりの息子が差し出した5万円を、
夫は躊躇なく受け取ったようだ。

そして、その現金が仇になった。

夫の誕生日プレゼントなので、
取り上げる訳にもいかず……。
以後、その金は、もちろん夫の酒代へと変化。

飲む飲まないは自己責任なので、
夫の隠れ酒を無視して来たが……。

大量のアルコールが悪さして、
深夜、ベッドから落ちての大騒音。
トイレまでたどり着けずに失禁。
騒がしい夜が再来している。

飲まない生き方を選択できずにいる夫は、
死神にとりつかれているようにも見える。

夫の今にも消え入りそうな弱々しさが気掛かりで、
離れるタイミングを逸してしまった私。。。。。。

夫のこれまでを振り返ってみると、
何度となく危険な場面に出くわしても、
なんとか乗り切って、生きているのだ。
夫は強運の持ち主で、
案外、長生きなのかもしれない。

元気な振りをしている私の方が、危ないかも。。。

当てにならない夫を当てにすることなく、
家事全般を一人でこなして、その合間にお仕事。
そのまた隙間で依存症家族の会に顔を出し、
講演を聞いたり、ボランティアもちょこっと。
私ばかり忙しすぎる。
これじゃあ、夫より先に私があの世行き!?

まあ、それでもいいかな。
半世紀以上生きて来た年齢を思うと、早死ではないし……。
何より、夫の病気を思い煩うことから永遠に解放される。

進展しない現実から逃げたがっている私がいる。

029.jpg

元気が足りてない時は、天使と戯れる。
そして、しあわせ感を充電している。


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小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
麦酒以外の酒をたしなむ
猫舌の呑助?です。。。

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