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未練

夫は節酒でやり過ごそうと、もくろんでいるようだが、
もはや、入院前と同じ、酒浸りの日々が再開。

いつまで経っても酒を手放すことが出来ない夫に、
ほとほと愛想が尽きた妻は、夫を見限るに決まってる。

そんなふうに夫は思っていたのだろう。

捨てられるのは、プライドが許さない。
そこで、先手を打つ。
つまり、他に暮らす女がいると主張する。

私は、女の存在にすぐに反応し、
大いに取り乱してしまった。
結局、夫に未練たらたらだったのだ。

「お前がいやがるなら、同級生に会いに行かない。
 お前と一緒に暮らしたいから、田舎には帰らない」

私の心を見透かしたように、
夫は、いとも簡単に同棲中止を宣言した。

私は、試されていたのだ。

夫の策に、まんまと乗せられて、
再び、依存症者の妻として伴走することに……。

045.jpg

アルコールが生きる目的になっている夫は、
アルコールの害を百も承知で飲んでいる。

ここまで来たら、もう好きなだけ飲ませて、
人生終わりにしていいのでは?

そんな投げやり感に包まれながら、
院内の家族会に参加した。

「お酒が100%悪ならば、とっくに止めているはず。
 メリットがあるから、飲み続けているのです。

 そんな依存症者を見捨てず、
 何とか踏ん張っている自分を褒めてあげましょう。
 セルフケアすることで、
 依存症者のアルコール問題に向き合う力が付きます。

 依存症の本人は、
 失敗を繰り返し、試行錯誤し、
 やがて、彼なりの落とし所が決まるようです。


 回復を望む家族は、普通の会話をふやして、
 断酒の土台を作りましょう」

精神保健福祉士の言葉を拠り所に、
気持ちを立て直したのだが……。

事態は思わぬ方向へと転がり出してしまった。
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