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その後

2週間後の外来予約時も夫に付き添い、
入院の方向に話が流れることを期待していた。

採血結果を確認した医師は、ちょっと驚いた感じで、

「前回よりも全体的に数値が良くなっていますね。
 禁酒出来ましたか?」

「いえ、まだ飲んでます。。。。」

653あったγGTPが444に下がっていたのだ。

節酒の効果が出始めたようで、
これには、夫も気を良くしていた。

でも、正常値をはるかに超えた数値であることに
変わりはなく、楽観は出来ないのに……。

次回の予約は夫の希望により、
3週間後と、さらに間が空くことになった。

一時しのぎの節酒がいつまでも続くはずはない。
寝起きの夫の浮腫んだ顔付きからも、
不機嫌そうな態度からも、深酒が見て取れた。

この状態で採血検査を受ければ、
きっと、数値は振り出しに戻っていることだろう。
今度こそ、入院を視野に話が進むかもしれない。
ところが、3週間後の診察時は問診のみだった。

「まだ、飲んでいますか?」

主治医の問い掛けに、夫は小声で答えていた。

「はい、まだ。。。夜、ウイスキーの小瓶を1本」

少なく鯖読む傾向ありの夫。
これまでの状況から判断すれば、
1日かけて中瓶1/2本位が妥当な線だと思う。

「小瓶1本程度の量なら、
 飲まなくてもいられるのでは?」

「いつも、明日からは止めようと思うのですが、
 やっぱり、飲んでしまって……」

本当に止める気があるのだろうか?
今日出来ないことが明日出来るとは思えない。
ちょっと意地悪な見方をしていたら、
そんな私の気持ちを主治医が代弁してくれた。

「明日じゃなくて、
 今日から止めてみてはどうですか?」

「……」

夫が黙ってしまった所で、診察終了。


これ以上、肝硬変や糖尿病が進行しないよう、
入院という酒のない環境で、体を休ませた方がいい。
自宅に籠り、夫一人で酒に立ち向かっても、
巨大化した飲酒欲求を抑えることは不可能に近いのだから。

入院は、酒に負けたことではない。
酒に勝つために、夫には入院が必要なのだ。

今まで4度の入院は断酒へと繋がらなかったが、
入院のおかげで夫の命は繋がっているのだ。

生きていれば、回復も夢じゃない。
生きていれば、初孫にも会える。
生きていなければ、家族が悲しむ。
生きててほしい。。。。。。。

押し付けがましくならないよう、
言葉を選んで伝えて来たつもりだが……。

入院拒絶、禁酒拒否の夫を前にして、
行き詰まりを感じている。。。。。


酒に飲まされている状態の夫は、危険と背中合わせ。
さよならが、突然やって来るかもしれない。。。。。。
はらはらと散る桜の花びらを見ながら、
そんな悲しい覚悟をしている私がいる。

プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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