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他人行儀

週末の外泊訓練で、夫が家に帰って来た。

日に焼けて顔色はいいのに、
元気そうには見えない。
口数も少なく、表情が硬い。

他人行儀な態度が見て取れて、
話しかけにくかった。

夕食後、夫は自室でCDを聴いていた。
家中に響き渡る音量に騒がしさを覚えたが、
我慢していると、夫の歌声が聞こえて来た。

曲に合わせて、熱唱している。

過去の一杯ひっかけて、
ご機嫌な夫の姿が頭に浮かんだ。

まさか、飲んでる?
まさか????

翌朝のけだるげな夫の様子も、
飲んでいた頃とダブって見えた。

「暑くて寝付けなかった。 体中がだるい」

久しぶりの自宅で、勝手が違っただけ。
何でも酒と結び付けてしまうのは、私の悪い癖だ。

夫は、今回の入院を
「ラスト・チャンス」と、心に刻んだのだ。

瀬戸際に立っているのだ。
ゆめゆめ、チャンスをつぶすような、
愚かな行為はしないだろう。
私は、疑惑を封印してしまった。

夫は、お気に入りのお菓子を数種類、
手提げバッグに入れて、病棟に帰って行った。

飲酒の証拠はない。

でも、夫を疑い、
胸騒ぎを覚えたのは、事実だ。

夫のよそよそしい態度も気になっていたのに……。
全て、うやむやにしてしまったのだ。
本当のことを知るのが怖かった。。。。。
私は、意気地なしだ。

もし、飲酒していたら、
入院治療の意味がなくなる。

後味の悪い思いが尾を引いている。

だから、言ってるじゃないか。
飲酒するのは、あなたのせいだって。

したりげな口振りが聞こえてくるようだ。

意気消沈

白黒はっきりさせることはない。
グレーでいいじゃないか。

依存症からの回復は、あくまでも本人の問題だ。
私が、どうこうできるものではない。

現在、夫は入院治療中の身。
自身の立場を「ラスト・チャンス」と、表現していたが……。

何回かの外泊訓練を経て、私の疑惑は、
大きく膨らみ続け、もう、抑えきれなくなっていた。

グレーであることが我慢できない。
酒瓶の探索へと突き進む。
そして、ご対面。

外泊訓練が飲酒の機会になっていた。
入院治療は形だけになってしまった。

病気が酒を飲ませている。
病気の根強さが、憎々しい限りだ。

遠回しに、飲酒を指摘すると、
夫は「飲んでいない」と言い張る。
飲んだという事実を受け入れようとしない。

話は平行線だ。
ここで、争うことは意味がない。

私の中で、何かが音もなく崩れた。
もう、ダメだ。

。。。意気消沈。。。。。

回復を妨げているのは、私なのかも。
自分へのダメ出しが止まらない。

しみついた共依存は、本当に厄介だ。
簡単には消えない。
私も夫も、回復の道のりは遠く、険しい。
プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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