縁を切る手続きは、簡単だ。
私の手元には、未記入の離婚届が2枚ある。
「離婚だ、離婚だ!!」と、騒ぐ夫のために、
区役所に行ったついでに、用紙を頂いて来たのだ。
「そんなに離婚したいのなら、どうぞ、ご署名を…」
夫に、用紙を突き付けると、
「お前が先に書け。 お前が書いたら、俺も書く」
普段は、自分が一番でないと気に入らないくせに、
この期に及んで、
レディーファーストなんて、可笑しすぎる。
私の中では、別居という選択肢はあるが、
離婚という最終決断は、まだ出来ていない。
強要されても困る。
心が固まっていないから、私は書かない。
「書きたい人が、書けばいい……」
そう言って、私はその場を離れた。
「早く書け!! 逃げるのか!! バカヤロー」
酒が言わせている暴言に過ぎないと、
思うようにしているが、
やはり、心は、ずっしりと重くなる。
そして、そんな時は決まって、
遠い昔の約束が、頭をよぎるのだ。
「…相敬い…苦楽を共にし…」
今の私は、苦から逃れることに躍起になって、
夫婦で助け合うことを放棄しているのではないか。
何か、まだ、方法があるのではないか。
晦日の昼前、夫は、ふらりと家を出て行った。
行き先は、酒類を扱っているドラックストアだろう。
通常なら5~6分で、その店に着くはずだが、
夫は痛いひざをかばいながら歩くので、
3~4倍の時間がかかっていると、思われる。
毎度のことなので、
しばらくの間、戻らなくても気にならなかった。
玄関の呼び鈴を鳴らす音が聞こえたので、
インターホンを取ると、女性の声が……。
「ご主人をお連れしました」
急いでドアを開けると、
見知らぬ中年夫婦に支えられた夫が立っていた。
道端に倒れていたそうだ。
ひざに力が入らず、
一人では起き上がれなかったらしい。
夫の意識がはっきりしていて、近所でもあったので、
家まで送り届けてくれたのだ。
まったく、近所迷惑な病人だ。
酒を手に入れることしか、頭にないのだから。。。。
そういう病気と分っていても、
やはり、ため息が止まらない。
どうしたものかと足掻きながらの年末だった。
私の手元には、未記入の離婚届が2枚ある。
「離婚だ、離婚だ!!」と、騒ぐ夫のために、
区役所に行ったついでに、用紙を頂いて来たのだ。
「そんなに離婚したいのなら、どうぞ、ご署名を…」
夫に、用紙を突き付けると、
「お前が先に書け。 お前が書いたら、俺も書く」
普段は、自分が一番でないと気に入らないくせに、
この期に及んで、
レディーファーストなんて、可笑しすぎる。
私の中では、別居という選択肢はあるが、
離婚という最終決断は、まだ出来ていない。
強要されても困る。
心が固まっていないから、私は書かない。
「書きたい人が、書けばいい……」
そう言って、私はその場を離れた。
「早く書け!! 逃げるのか!! バカヤロー」
酒が言わせている暴言に過ぎないと、
思うようにしているが、
やはり、心は、ずっしりと重くなる。
そして、そんな時は決まって、
遠い昔の約束が、頭をよぎるのだ。
「…相敬い…苦楽を共にし…」
今の私は、苦から逃れることに躍起になって、
夫婦で助け合うことを放棄しているのではないか。
何か、まだ、方法があるのではないか。
晦日の昼前、夫は、ふらりと家を出て行った。
行き先は、酒類を扱っているドラックストアだろう。
通常なら5~6分で、その店に着くはずだが、
夫は痛いひざをかばいながら歩くので、
3~4倍の時間がかかっていると、思われる。
毎度のことなので、
しばらくの間、戻らなくても気にならなかった。
玄関の呼び鈴を鳴らす音が聞こえたので、
インターホンを取ると、女性の声が……。
「ご主人をお連れしました」
急いでドアを開けると、
見知らぬ中年夫婦に支えられた夫が立っていた。
道端に倒れていたそうだ。
ひざに力が入らず、
一人では起き上がれなかったらしい。
夫の意識がはっきりしていて、近所でもあったので、
家まで送り届けてくれたのだ。
まったく、近所迷惑な病人だ。
酒を手に入れることしか、頭にないのだから。。。。
そういう病気と分っていても、
やはり、ため息が止まらない。
どうしたものかと足掻きながらの年末だった。