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万が一

病勢は、一進一退なら、まだいいが、
一進二退、三退……と、後退しているような???

夫は、寝ぼけて、よく時間を見まちがえる。

まだ、夜だというのに、慌てて、起きて来て、
パジャマを脱ぎ捨て、着替え出すのだ。

出勤モードの夫に、正しい時刻を伝えると、
いつもなら、時計の見まちがえに気づき、
布団に戻るのだが……。
昨夜は、やたら、疑り深くなっていた。

時計の針は、夜の11時半近くを差していたのに、
夫は、「朝の6時だ。 仕事に行く」と、言い張った。

家中の時計を確認して、深夜であることを伝えても、
「時計がみんな壊れている。 遅刻してしまう」

信じようとしない夫に、これ以上説明しても無駄だ。
私は取り合うのをやめた。

夫は、しばらく、
家の中をうろうろと歩き回っていた。

眠れない夫は、いつもなら、
こっそりと家を抜け出して、近くのコンビニへ、
酒を調達に走るのだが……。

なぜか、昨夜は、堂々としていた。
「眠れないから、酒、買いに行って来る」

こんなにも、あっけらかんと告げられると、
「気を付けて、いってらっしゃい」と、
見送ってしまいそうになる。

夫は、ウイスキーの角瓶1本と
柿の種が入った袋をぶら下げて、帰宅。

飲み出したら止まらない酔っ払いは、
ふらつき、ドスンとこけたり、壁にぶつかったり、
大声を出したりと、たいそう騒がしかった。

マンションなので、下の階の人は、
深夜の大きな物音に迷惑していることだろう。
隣近所に肩身が狭い。

酒を飲むことをやめない夫。
そんな夫に寄り添い、この先、どうなるのか。
飲んだくれたまま、私も夫も人生が終わってしまう。

でも、万が一、夫が断酒を決意したら、
新しい生き方が始まる。

この病気で、断酒に成功して、
回復している人は、ほんの一握りしかいないと思う。

夫の回復は、奇跡に等しい。
でも、万が一の奇跡がないとは、言い切れない。

そう思うことが、日々の支えになっている。

プロフィール

小吉

Author:小吉
相棒の発症のおかげで、
加減して飲むことを学習。
依存症予備軍!?
猫舌の呑助です。。。。。

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